安倍政権の揺るぎない支持率とは
―反日「民進党」・「日本共産党」共闘による危うさ中で―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 日本では左翼運動を一概に「反日(左翼)」と呼んで違和感がないが、欧米先進国の「反政府運動」や「労働運動」と比べると、その“執念”の差が違い過ぎる。日本の反日は激し過ぎて、さながらアナーキー(無政府主義)である。体制側とトコトン対立するのが目的で、話し合いで問題を結着させるなどと端から考えていない。
 その執念の違いはどうしてだろうと、戦後イタリアに駐在した際に考え込んだものだ。1965年代の頃だが、まずイタリアに行って常識の違いにびっくりしたのは、イタリア共産党が国防軍を認め、更にNATO加盟を認めていたことだ。日本共産党の自衛隊解体や日米安保廃棄などと土台の思想から違うのである。
 これはイタリアが途中で降伏して、終戦時は“戦勝国”として扱われたかったこと。再出発に当たって国家の基本が揺らがなかったからだろう。このためイタリア共産党も“独自の道”を描いた。
 これに対して日本共産党はスターリンからコミンテルン(第三インター=世界共産主義)の指令書を授けられ「ソ連と中国の革命を助けよ」と命じられたのが活動の原点である。政府というのは打倒する目標であって、話し合って何かをして貰うという発想ではない。要するに外国の使用人だから、交番襲撃も銀行強盗も革命のためだから許されるという発想だった。
 山本七平氏の「『常識』の非常識」によると、占領軍が「野党とマスコミを反国家の方に誘導した」面があるという。確かに300万人の戦没者を出した国民の側からみると、戦後、政府=悪という観念は拭えなかった。江藤淳・慶応大学教授は、占領軍は手紙の検閲や、新聞記事の差し止めによって、政府と国民との間に壁を築いたという。占領軍は野党やマスコミに民主主義を教えるつもりで、実は反権力思想を植え付けてしまったとも言える。
 我々は若い頃、自分の政府が信用できないのだから、外国の指令で動く共産党員がいてもおかしくないと思ったものだ。ご本尊のソ連が潰れると「中国を見習え」という声が浮上した。今、共産党が民進党にもちかけている「一点共闘主義」は共産党の伝統的手法だ。この手でポーランド、ハンガリー、ルーマニアで権力を奪取した。
 西欧の共産党は冷戦後、あらかた間違いを認めて、謝罪し、党を解散しているのに、日本共産党だけは解散せず、わが道を行くと言う。共産党が固執しているのはかつての社会党のご本尊だった非武装、日米安保廃棄である。だが、日本の周辺を見て欲しい。密かに目標と仰ぐ中国は日本を徹底的に敵対視しているのではないか。南シナ海岩礁の強奪手法を見ると、日本を侵略する気配だ。安倍首相は衆参とも4回の国政選挙に勝ち続け4年経ってもまだ内閣支持率が50%を超えているのは何故なのか。民進党の反日が安倍政権を押し上げているのではないか。民進党は反日政治から脱却しなければ、支持は広がらないだろう。
(平成28年9月21日付静岡新聞『論壇』より転載)