第108回
「トランプ大統領のアジア歴訪の成果と意義」

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  長野禮子 

 2017年11月のトランプ大統領の初のアジア歴訪によって、トランプ政権のアジア政策と矛盾点が明らかになったと、以下の7点を古森氏は指摘した。
 ① 伝統的な同盟(日米同盟・米韓同盟)を重視。
 ② 経済政策(貿易など)については二国間協議を重視。
 ③ 北朝鮮にはより強固な態度で臨む。
 ④ 対中政策については硬軟使い分けるが、妥協はしない。
 ⑤ 南シナ海、東シナ海における中国の活動に対し、有志連合に基づく対中政策を講じる。
 ⑥ 民主主義、人権、法の統治といった普遍的価値観に基づく政策を貫く。
 ⑦ アジア政策の様々な施策においての矛盾、排反、不一致が散見される。
 注目すべきは、トランプ政権の対中政策の強化である。習近平主席との会談では直接中国を批判することはなかったものの、隣には北朝鮮問題を抱える同盟国、日・韓がある。北問題では中国の手腕に期待を寄せている米国だが、その対応如何では中国抜きで行動することを示唆した。また、南シナ海の「航行の自由作戦」は、オバマ政権時代よりもはるかに強化され、更に安倍首相の提唱する「インド太平洋戦略」を共有し、民主主義、自由、人権についてAPECで講演。アジアにおけるトランプ政権の安全保障政策はオバマ政権とは明らかに異なる。
 こうしたトランプ政権の外交に関する基本的理念は、9月の国連演説でも示された。北朝鮮による日本人拉致事件に触れる一方で、『原則に基づくリアリズム』を大事にすると発言した。これは、国際社会の前提は国民国家の自立であり、それらの連携こそが国際平和の基礎となるということである。
 来日前トランプ氏は、「日本は戦士(ウォーリアー)の国だから、北朝鮮から米国にミサイルが発射されたら必ず打ち落としてくれるだろう」と発言。これは、米国議会で、9.11事件の際に共に戦うと立ち上がったNATO諸国に比べ、戦おうとしなかった日本と同盟を組むことに意味があるのかとの問題提起がなされていることから、トランプ大統領の日本に対する具体的な期待と要求と見るべきであろう。
 日本はそうした状況を踏まえ、より具体的なアジア・太平洋戦略を外交・安全保障のみならず、経済面でも展開して行く必要があろう。

講 師: 古森 義久 氏(JFSS顧問・麗澤大学特別教授)
日 時: 平成29年11月22日(水)15:00~17:00