武士道が裏目に出た日本外交
―中韓には正攻法で反論せよ―

理事・政治評論家  屋山太郎 
 
 日本外務省は中国・韓国相手の外交的宣伝戦に参入したようである。最近、尖閣の歴史映像をネットやユーチューブで発信。韓国向けには竹島の歴史や由来を流し始めたという。黙して語らずの日本が突然、自分の言い分を発信し始めたことで、中・韓両外交当局は面喰らっているらしい。
 福田康夫元首相が記者会見で中国相手の外交について「相手のいやがることはしない。」というのを聞いてびっくりしたことがある。これは日本人の“徳”のようなもので、「自分が我慢して収まるなら我慢する」のが日本の大人だ。1937年12月に起こったとされる南京虐殺は歴史家の秦郁彦氏によると、当初、民間人1万2000人軍人2万8000人だった。翌年、中華民国政府が国際連盟に持ち込んだ数字は死者2万人で中共軍(中国共産党)の申し立ては4万2000人というものだった。
 都市を開域(オープン・シティ)しなかったのだから、その程度の損害は当然とし国際連盟では取り上げられなかった。太平洋戦争後に発行された米国の「軍事史百科」では太平洋戦争での中国側死者は軍人死者50万人、傷者170万人、民間人100万人というものである。しかし江沢民時代には南京大虐殺館が建てられ、そこの看板には犠牲者30万人と掲げられ、戦争全体の死者は3500万人とされた。これは日本側が相手のいう数字に公式に何の反論もしないから、一方的に被害を吊り上げられた。「損害を与えたのだから、いい訳はしない」という武士道の精神が完全に裏目に出たのである。
 日・韓関係にも全く同じことがいえる。1965年に結ばれた日韓基本条約では両国の請求権は日本側が5億ドル払うことによって、「完全かつ最終的に解決された」と謳われた。韓国側はあとになってその当時は慰安婦問題は話題にならなかったとの言い分だが、「請求権協定は今後、持ち上がってくるかもしれない問題も含む」ことになっている。慰謝料が必要だと判断すれば韓国政府が払うべきものだ。
 そもそも慰安婦問題というのは吉田清治という詐話師のような人物が「私の戦争犯罪、朝鮮人強制連行」(83年三一書房刊)という本を出版したのが発端。のちに実地検証で根も葉もない話だったことが判明するが、韓国ではすでにテレビ化され”全否定”することは不可能な状態だった。そこに朝日新聞が91年8月11日付けで「元朝鮮人従軍慰安婦、戦後半世紀、重い口開く」という元キーセンの発言を聞き出した。「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」と書いてあることで、記者の認識が完全に誤っていることがわかる。挺身隊というのは私の姉も行っていたが、当時、女学校3年生以上が工場の作業を手伝いに行った。慰安婦とは何の関係もない。河野談話が事実確認しないまま出されたものであることも判明している。
 謝ればことは済む、潔いと考えるのは日本人の徳だが、中・韓相手には正攻法で正直に反論すべし。

(平成25年11月4日付静岡新聞『論壇』より転載)
 
 Ø 掲載年別  
2014年の『論壇』

2013年の『論壇』

2012年の『論壇』

2011年の『論壇』

ホームへ戻る