朴槿恵大統領の反日喧伝外交盛ん
―日帝36年の恨み1000年、児戯に等しい日本攻撃―

理事・政治評論家  屋山太郎 
 
 韓国の朴槿恵大統領は、5月に米国、6月に中国、9月に独、11月に英、仏、ベルギーを歴訪し、各国首脳との会談や相手国議会での演説を行って派手な外交デビューを飾った。これまでの韓国首脳は訪米の次に訪日をするのが慣わしだったことからみると、朴氏の意図は明らかな日本外しである。
 日本を外した理由について朴大統領は仏フィガロ紙に「過去の過ちに建設的な態度をみせてEU統合が実現したことを日本は見習って欲しい」。英BBCのインタビューでは「慰安婦問題を無視するような指導者と会っても何も得られない」。ベルギーでの記者会見では「日韓会談でどんな結果が出るのか。より悪化するのではないか」。
 こういう外交を「言いつけ外交」とでも呼ぼうか。韓国はいま、隣国・日本の評判を落すこと、損害を与えることに懸命になっているが如くだ。その動機は何なのか。慰安婦問題での言い掛かりは、何十年も前からだが、最近は盗品の仏像を返さないとか靖国神社に対する放尿やら放火未遂と、児戯に等しい国家に成り下った。
 この一連の騒動を見ながら、昨年聞きに行った講演会を思い出した。演題は「日本の中・韓外交」といったものだったが、講演の後、かのノーベル賞受賞者の山中伸弥教授が手をあげて「学会や研究サークルで韓国人や中国人から一方的に日本を非難したり、攻撃されるのですが、どう対応すればいいのでしょうか」と尋ねたのである。日本人は公の場で非難されてもことを穏便に済ませようとする。私なども幼少の頃から父親に「言い分けをするな」と叩き込まれて育った一人である。
 山中教授はおおまかな世界史は頭にあっても、個々の事件、たとえば慰安婦だとか竹島問題の委細は頭に入っていない。高校で学ぶ現代史は入学試験の時までに終わらないのが常だし、左翼史観で書かれた教科書では、日本の言い分について正しく書かれているものが少ない。
 しかし山中氏のような大学者ほど、そういういわれなき日本非難にぴしゃりと答えてほしい。本来、そのような反論は外務省のやるべき仕事だ。朴氏の会見のあと現地の日本大使が会見するのが大人気なければ、会見記を載せた新聞社に「反論」あるいは「日本の見解」を載せるよう送りつけるべきだ。載せるか載せないかは向うの見識によるが、編集者は必ず「裏の見解」を知るはずだ。
 朴大統領は「恨みは1000年忘れない」と言う。日帝36年の弾圧に加えて慰安婦への謝罪がないと怒っている。だが、日帝36年の前は1000年にわたって中国の属国で、日帝が併合した1910年には人口の30%の奴隷が解放された。併合中には平均4.7%の経済成長が達成されている。韓国の願望は日本に勝ちたいの一点で、その象徴が竹島の占領、第2が日韓基本条約で解決済みの「慰安婦」をむし返して謝罪させることなのだ。


(平成25年11月13日付静岡新聞『論壇』より転載)
 
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