セウォル号惨事と日本
  

                                                                   研究員拓殖大学国際開発研究所

                                                        高永

   

 日露戦争を大勝利に導いた東郷平八郎提督は横須賀を訪れた米海軍生徒から“提 督は世界で一番尊敬する提督は誰ですか?”と聞かれたところ“私は300年前、日本艦隊を撃破した朝鮮の李舜臣提督を一番尊敬する”と答えた。
 セウォル号沈没の大惨事を招き救助のゴールデンタイムを見逃した連中は李舜臣提督の名誉と韓国の威信を落とした訳である。
 セウォル号沈没の原因は3倍を超える積載量に加え船底バラストタンクの水を減らした結果、船体の復元力が失われたのが原因となっている。事故の近因は海洋警察が自分の管轄区域と言い訳、最初から海軍UDT/SSU潜水を妨害したことである。更 に最初の救助が遅れたのは日本の救助支援を拒んだ事にある。
 事故の遠因は政官民癒着とデタラメ宗教団体である親会社の不正不実が大惨事を招いた。
 韓国では6月に地方自治団体長総選挙がある。今回の事件では遺族をそそのかして反政府運動を煽る動きが現れている。朴大統領の支持率は急落している中、現政権が足を引っ張られている。しかし今回の事故は全てが現政府の誤りとは言えない。 昔から蔓延していた韓国社会の構造的かつ総体的な不実の現れである。大惨事を招いた韓国病にメスを入れ大手術し洗い直しをしない限り 第 2、第 3 の惨事が再発する恐れがある。 今回の惨事は自然災害ではない。人災である。運送会社の不実経営とリスク管理不実及び安全行政省のクライシス管理(危機管理)能力がきちんと整えられていなかったと言う証である。
 特に政府当局と傘下団体及び運送会社が絡み合う国全体の総体的な不実が赤裸々に露呈された出来事である。韓国は造船能力が受注ベースで世界 1 位と知られている。
 ところが、セウォル号は日本の造船所が作った中古船を韓国が買い取り、無理やり客室を増築した。さらに運航寿命がわずかな中古船を運航延長させた当局も責任を取らざるを得ない。運航会社を率いる宗教団体の教主が行政当局及び関連政治屋を買収して不実経営に走り大惨事を招いたと指摘されている。特に、日本が緊急救助の意思を表明したにもかかわらず、韓国側が拒んだ事も救助が遅れた要因の一つである。人命救助は敵味方を問わず直ちに実行しなければならない。しかし、友好国の救助支援を受け入れなかった事は「小貪大失」の失策(細かい体面に拘ると大きなものを失う)だ ったと言わざるを得ない。
 今回のセウォル号沈没事件と対応について国際社会では韓国の後進性が指摘され「3流国家」扱いされ、国際社会の優等生である「韓国号の沈没」とも言われている。
 今回の事件を教訓にして韓国は総体的な不実を根本的に洗い直して先進国に生まれ変わるきっかけにしなければならない。韓国社会全体に蔓延された癌を取り除く覚悟でメスを入れ、大手術を断行すべき重要な時期に直面してい る。朴大統領の大胆な政治決断と政治力量に国民的な期待感が高まっている。 

 
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