シャム・サラン インド国家安全保障諮問委員会前議長をお迎えして
研究員 長尾 賢

 2015年3月26日、外務省の招待で訪日したシャム・サラン・インド国家安全保障諮問委員会前議長を招き、意見交換会が行われた。先方が指摘した点で傾聴に値する点は、以下の通り。

1.インド外交は、モディ首相の下でも基本的には変わらない
(1)まずは近隣諸国との関係を改善し固める。
(2)経済外交と科学技術面のパートナーシップを追求する。
(3)在外インド人を重視する。
(4)米国や日本などのKey countriesとの関係を強化する。
(5)対中外交の要点。硬軟両様の二本脚外交はこれまでと変わらない。
(6)ロシアは冷戦以来のパートナー。
(7)欧州は一つの極だが退潮の傾向あり。
(8)インド外交の伝統はネルーから始まる非同盟主義以来、Strategic Autonomyが国是。
(9)パキスタンは難しい。対中関係はマネジできるが、パキスタンとのcomposite dialogueは成功しない。
(10)豪州、インドネシア関係。

2.対中関係の要点
(1)中国との問題は重要かつ深刻である。国境地帯のインフラ整備にも努めている。
(2)中国軍は数千人から1万人規模でカシミールのインド管理地域にも軍を駐留させており、道路工事等を行っている。
(3)ブータンと中国の間には領土問題がある。
(4)中国の防空識別圏に関しては、中国側が実際に撃墜でもしない限り、中国は宣言しただけで実行性がないものと
   解釈できる。過度に騒ぐ必要はない。
(5)「真珠の首飾り戦略」に関しては、インド海軍のプレゼンスを拡大し、また周辺国との外交関係を高めて対応している。
                                                                                                                                                                          (了)



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