■海警局について
中枢は約400人の官僚から構成。5月中旬に訪中した際、同局官僚のひとりは「中華民族復興の根本的な目標である」と積極的な海洋戦略について指摘した。中国の海洋戦略は2011年に大きく舵を切っており、2012年に漁船がすべて大型で新造されていることからもわかる。
6月から始動。漁民を統制下に置く。公船は約3000、小型船舶を合わせると4000。
■中国漁船の役割
昨年7月、五島列島玉之浦に106隻の中国漁船が避難目的で入港した。玉之浦は現在は避難港ではない。入り江の奥深くまで進入した。干満も計算している入港の仕方だった。
▽ポイント
1、106隻は機器を使い海底面を探ることができる。海底面を調査している可能性があり、軍との連携が推測される。潜水艦航行のための海中、海底調査を兼ねていた可能性がある。「白樺」ガス田でもかつて同様の動きがあった。
2、1隻1億円で建造できる漁船は富裕層が投資の対象としている。1隻の年間売り上げは約6000万円。3年あれば元がとれる。
3、東シナ海では千隻の中国のトラ網漁船、トロール漁船が展開している。有事の際は脅威となる。
4、玉之浦では中国漁船が糞尿を垂れ流し、船体の貝などを齟齬落としており、貝毒が発生している。⇒環境汚染
■今後の流れの推測
いずれ周辺海域で潜水艦を(頻繁に)航行させてくる。規制事実が積み重なっていく。すでに「日本船舶を駆逐した」と宣伝しており、宣伝強化6の流れが進行していく。
▽ポイント
1、中国は漁船を使ってくる。
2、日本漁船を「追い出した」映像、つまり中国の監視船が日本の民間船舶を尖閣海域で追い回している映像(中国側撮影)で宣伝している。⇒強化の可能性
3、海保の船舶を増加させても中国はさらに増加させる。
4、潜水艦に対して日本が法執行できなければ、「中国の海」と認めたことになる。
5、中国は東シナ海全体を獲りに来ている。
■危険性と提言
1、海洋保全区として尖閣周辺を入域制限海域とする。
2、国際司法裁判所で争っても中国は拒否権がある。最低で尖閣諸島の3つの岩が台湾のものとして裁定される可能性がある。
3、沖縄を軍事的に押さえれば台湾をも押さえたことになる。
4、日米の潜水艦が頼みの綱だが、中国が漁船を使ってくる。
5、中国は日本海進出を考えている。
6、中国は北極海航路への戦略を持つ。
以上が山田教授の「講義」だ。質疑のなかで「尖閣へ部隊を置くべきでは」との質問に「やるなら今だ。明らかなことをすべきだろう」と指摘した。また、日中の争いを国際社会で「調停」してもらうことも必要と指摘したうえで、中国の公船を拿捕し国の方針を示すことへの必要性にも言及した。
最近、私は中国の某幹部とやりとりしたが、尖閣関係で新たなステップを踏むことを示唆している。日本にとって尖閣は外交の試金石となっているのだ。
記
テーマ: 「中国の海洋戦略」
講 師: 山田吉彦 (東海大教授)
日 時: 平成25年5月27日(月) 13:10〜14:45
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