5回「中国事情研究会」
政策提言委員  野口東秀
  日本の領域警備をどう変えていくか。この問題で議論は当然ながら分かれている。いずれにしても現状のままでは安全保障上、大問題が生じかねないということだけは言える。
 向田氏は元海上保安庁幹部として日本が抱える問題を明確に論点整理した。領域警備は海上保安庁が担うが、自衛隊が担うよう法整備を求める声がある。しかし向田氏は、日本国民の意識などをふまえ、「現実問題では難しい」と説く。
 日中間で一触即発の危険性が消えないなか、中国公船に対する取り締まりは限定されている。いつまでこの状態は続くのか。日本政府はいまだにその答えに窮している。
 まずは領域警備において、海上保安庁と自衛隊との間の連携をスムースにして一体性を構築し矛盾のないようにすること、つまり「隙間」をなくすことである。これだけでも抑止力向上になるはずだ。
 中国は、中国の公船が日本の領海に入り領有権を主張し日本の実効支配を否定する段階を経て、日本の領海において公船が日本漁船を取り締まるなど中国の主導的権利を行使する段階に移るとみられている。国際社会では、日本は尖閣を実効支配できていないのではないかとの疑問が出ている。
 向田氏は「日中の争いに発展するなかで総理は防衛出動を命令できるのか」「防衛出動を出さないとすれば米軍は動くのか」との論点を提示した。実際、米国政府は尖閣をめぐる日中間の衝突に巻き込まれたくないというのが本音だ。
 いま、日本は国益を守る国と認識されるかの分岐点に立つ。政治家は命がけで法整備、防衛力整備に尽力すべき時である。

                                          記

 テーマ: 「海上保安官から見た尖閣問題」
   講 師:  向田昌幸氏  (公益社団法人 日本水難救済会理事長)
   日 時:  平成25年6月24日(金) 13:00〜14:30




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2013年

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