戦争が起こる時とはいかなる時か。それは、一国が相手国をパワーで追い抜くときである。まさに中国であり、追い抜かれたのは日本である。しかも決定的に力が開くときに戦争が起こるのではなく、追い抜いた直後にその蓋然性が高い。
かつて中国の戦争理論は「人民戦争」だった。これは弱者の理・手法である。しかし弱者から強者に変化した中国は、強者(米国)を相手にするだけでなく、弱者(東南アジアなど)とも戦う国となった。強者としての象徴が空母だ。弱者への威嚇である。つまり中国は米国とどう戦うかだけでなく、弱者といかに戦うかをも考えるようになったのである。
日本に対してはどうか。中国の「核心的利益」とは、@党の絶対支配A主権・領土B経済発展だ。現在、中国はAでは外交交渉の道を探る。@については戦争を厭わない。つまり国内要因である。党の求心力の低下、不人気を挽回するため戦争をする可能性があることに留意すべきだ。
しかしその原則は必ず勝利することであり、米軍を巻き込まないことと、日本と衝突した時に必ず勝つことである。この2つの条件がそろったとき、局地戦争をするだろう。
中国にとり、「小さな戦争」までは「平和」「外交交渉」の段階である。「軍事外交」という言葉が示すように過去の南シナ海での軍事的衝突も外交の手段に過ぎない。日本はこの点を理解したうえで対処すべきである。
日本自らが防衛力だけでなく、日本国を守るという矜持をもつべきと考えさせるものだった。村井教授が講義でにじませたのはこの点である。
記
テーマ:「中国の軍事戦略」
講 師: 村井友秀氏 (防衛大学教授)
日 時: 平成25年4月23日(火)13:00〜14:30
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