天下分け目の台湾総統選は国民党の現職・馬英九が民進党主席・蔡英文と親民党主席・宋楚瑜を破り、再選された。得票率は馬英九が51,6%(約689万票)、蔡英文が45,6%(約609万票)、宋楚瑜が2,8%(約37万票)であった。当初から馬英九の優勢が囁かれた総統選。途中から風向きが変わり、蔡英文の猛追により最終盤で伯仲するレース展開となったが、最後の最後で馬が逃げ切った。
結果はどうであれ、民主国家における選挙による有権者の判断は重い。仮に、この選挙結果が最終的に台湾にとって大きなマイナスになろうとも、台湾人は、それを甘んじて受けなければならない。ここは台湾人の選択を尊重したいと思う。
言うまでもなく馬英九再選によって、一段と中国傾斜が強まることは間違いない。だが、そこは余り感情的にならず、腰を据えて、冷静に見詰めた方がいい。
馬英九は対中融和を進めながらも基本的なスタンスは「現状維持」である。一方の蔡英文も、総統選では従来の独立志向を薄めながら「現状維持」を訴えた。分かり易く言えば、馬英九は中国寄りの「現状維持」派、蔡英文は中国と距離を置く「現状維持」派である。行政院大陸委員会が2011年9月に実施した世論調査によると、「現状維持」を支持する人々は74,8%、不支持は16,6%となっている。「現状維持」派が全体の4分の3を占めているのである。
最も望ましいのは台湾が台湾であり続けることである。「中国化」すれば、日本に対して、これほどまでに親近感を持ってくれている台湾が遠い存在になってしまう。それは双方にとって実に不幸なことである。同時に台湾海峡が日本にとって重要なシーレーンの拠点であることを考えれば「台湾海峡波高し」という緊張状態になることだけは避けたい。台湾が独立宣言をすれば、中国が実力行使に出て台湾海峡で武力衝突が起きるのは確実だ。台湾にとっては国家存亡を賭けての決断となる。
馬英九再選で、「第3次国共合作」が現実のものとなるとの指摘もある。だが、仮に、そうなれば必ず民意の反発を呼ぶ。総統選を前に中国との和平協定締結に言及した時も世論の激しい批判を受けた。日本にも台湾にも「永久政権」や「独裁政権」はない。いずれは選挙の洗礼を受けなければならないのだ。そこが中国との大きな違いである。筆者は、台湾人の良識を信じたい。
最後に強調したいのは、日本と台湾との絆は実に深く広いということだ。それは想像を超えるものがある。人為的な日中関係と、精神的な日台関係は、全く次元、質が違う。筆者は年に4、5回、台湾を訪れているが、日本人であれば皮膚感覚で理解できるはずである。誰が総統になろうが、そこは永遠に変わらない。
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