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英国RUSIと日本戦略研究フォーラムとのセミナー

多様化する日本の安全保障:[有効な国防能力整備・維持に関わるより広範なパートナーシップを探る]

セミナー の概要 日本の防衛機器産業の孤立と衰退を危惧
「武器輸出三原則」が日本のグローバリゼーションにブレーキー
平成22年5月12日、英国大使館において、在日英国大使、英国RUSI及び日本JFSSの共催による、防衛産業のグローバル化に係る初めての国際的なシンポジウムが、BAE SYSTEMS、THALESS、FINMECCANICA及びROLLS-ROYCE社等の協賛を得て開催され、午前9時から午後5時過ぎまでの間、Light mealを挟んで熱く且つ示唆に富んだSessionが繰り広げられた。
Sessionは3部の構成となっており、Session1:(Managing Alliance Dynamics)で産業界の現状を広く共通認識とし、次いでSession2:(Alliance capabilities:new threats and new challenges)で今後の共同に係る事項を論議し、最後にSession3:(Towards co-operative acquisition)で将来に向けた(防衛)産業分野における国家間の連携(共同)確立について具体的な論議が繰り広げられた。
日本側からは、日本戦略研究フォーラム理事長の愛知和男元防衛庁長官が開催にあたっての挨拶を実施した他、各Sessionのパネラー等に多くの知識人が参加した。
あくまでも、研究レベルの国際会議であったため政治・経済会に及ぼす影響は未知数ではあるが、各産業技術の国際共同・グローバル化が深化している現状にあって、現「武器輸出三原則」がその流れを根本的に阻止し、国内産業の鎖国化と将来の崩壊の誘因となる、強烈な予測を実感として感じられずにはいられなかった(文責:事務局TOMI)。 

本セミナーの詳細(英文)は次のとおり
RUSI JFSS Final Program&Bio
共催者挨拶:日本戦略研究フォーラム理事長  愛知 和男
 本日ここに、国際社会の安全保障の堅実な推進にとって、極めて重要かつ現実的課題に関わる議論が日英の優れた識者のご出席を頂いて行われますこと、開催にご尽力いただきましたデイビッド・ウォレン駐日英国大使をはじめ、関係各位に敬意を表しますとともに、ご参集下さいました皆様に御礼を申し上げます。
 RUSI(ルーシー)は、その優れた調査研究と政策提言をもって国際的に高名なシンクタンクであります。2009年度、私ども日本戦略研究フォーラムの研究テーマ「先進防衛装備品の多国間共同開発とこれが我が国の防衛機器産業に及ぼす影響」に関わる海外調査で担当委員がRUSIを訪問し意見を交換する機会を得ました。そこでは、安全保障と防衛産業との関わりについて現状を的確に認識し、相互に解決すべき課題を分析して国内外の政策に反映させることが二十一世紀の国際社会における重要かつ喫緊のテーマであり、寄与すべきことであると共通の理解が生まれ、RUSIから本セッションの開催について強く働きかけられたと聴いております。
 中でも関心事は、国際社会の協調・共同・協力・支援の進め方でありました。東西対立の構造が崩壊した冷戦後の国際システムは、国連依存や二国間関係を進化させ、国連の再編成や役割の拡大強化、多国間の相互扶助を求めるようになり、それがヨーロッパにおける共同体再編成、地域紛争解決のためにコアリッション・フォースを投入するなどの現実として具体化し、効力を発揮してきたところであります。また産業界においては、ボーダレスの合併や吸収施策による産業構造の国際的な再構築が進められ、国際システム化による企業経営基盤の強化、利益の確保、共同開発・共同生産に依る安全保障の連帯強化が図られております。分けても防衛産業の大規模合併の現象は、今後の国際安全保障、国際秩序の維持にいかなる貢献がなされるか興味深いところであります。
 ひるがえって第二次世界大戦後、わが日本の安全保障や経済政策は、日米同盟に基づき米国とのパートナーシップ一辺倒でありました。防衛産業に関しては、終戦直後から占領政策によって軍需に対する厳しい制約が徹底されました。研究開発の制限、造船・航空機産業をはじめとする重要企業の解体、製造の禁止といった直接の指令と徹底が日本の産業界の再生を遅らせました。
 今日に至るまで解かれていない武器輸出に関わる禁止政策、米国製装備の導入に偏らざるを得なかった日米共同体制など、ここでも安倍晋三元総理大臣が主張して来た「戦後レジームからの脱却」が進んでいない日本の二十世紀後半的体質が顕著であります。占領政策の主導に依って作られた日本国憲法の解釈論議の中で、国軍としての誇りを持たせられなくなった自衛隊の立場、占領政策が導いた日本人教育の産物である母国を護る気概が希薄でひ弱な日本人の存在、過度な軍事アレルギーの定着などが原因で、分けても安全保障の世界において日本が普通の国として優れた先進諸国とパートナーシップを形成できないでいるという現状は深刻な問題として認識できます。
 日本は今日このような現実に直面しているわけですが、今申し上げました戦後レジームという要因に導かれてきた日本の防衛産業が抱える問題を嚆矢として、日本が今日アプローチすべき、多くの面で価値観を共有する欧米諸国・国際共同体・ボーダレス防衛産業機構とのパートナーシップについて、優れた発表と闊達な議論が提供する示唆に期待したいと思います。そこでは特に英国側から、所謂、有効な外圧として、日米二国間関係の多国間関係への拡大について後押しする言及があり、強調されることに強い関心を持っておりますことを付言させて頂きたいと思います。
プロジェクトマネージャーのセミナー概観: 日本戦略研究フォーラム政策提言委員 田中伸昌元空将補
経緯
 去る5月12日、駐日英国大使館、デイビッド・ウォーレン大使公邸において日本戦略研究フォーラムはRUSIとの共催によるセミナーを実施した。RUSIは、軍事を科学的に研究することを目的に1831年にウエリントン公爵により設立された世界最古の由緒あるシンクタンクであり、防衛安全保障における調査研究成果ならびに政策提言は、政府や議会でしばしば採用されている。
 わが国との関係では、RUSIは2006年に防衛省防衛研究所との間で”Fellowship Exchange Program”を設定し、相互に研究員を派遣して研究に従事させ、あるいは共同でシンポジュームを開催し、さらに2008年には社団法人アジアフォーラム・ジャパンと共同で、わが国の防衛産業の変革に向けての提言を発表するなど国際的な視点のみならずアジアや日本に焦点を合わせた研究も行っており、わが国の防衛安全保障問題に関する造詣は極めて深いものがある。
 RUSIとJFSSとの関係は、JFSSが平成21年度の日本機械工業連合会の委託研究「先進防衛装備品の多国間共同開発の状況とこれがわが国の防衛機器産業に及ぼす影響の調査研究」の実施に当たって、海外現地調査の訪問先の一つとして英国ロンドンにあるRUSIを選定し、昨年12月に調査チームが訪問したことが最初である。その後RUSI側から、「共同でセミナーを日本で実施しないか?」とのオファーがあり、これを受諾してジョイントセミナーが実現したものである。
 セミナーは、駐日英国大使が会議場として大使公邸を提供されるとともに、英国の防衛産業であるBAE Systems 社、FINMECCANICA社、 Rolls-Royce社及びTHALES社による財政的な支援及び会議の運営における人的な支援を受けた。
注:RUSI側のプロジェクト・マネージャーは、アジア安全保障専門官・アレクサンダー・ニール
JFSS側は、政策提言委員・田中伸昌元空将補である
セミナーの概要
[テーマ及びスキーム]
 「“多様化する日本の安全保障”−防衛力強化のためのパートナーシップの拡大−」を基本テーマとして、基調講演のあと午前の第1セッション、そして午後の第2及び第3セッションで構成された。
[発表者]
 当初、国会議員、防衛省官僚等を予定したが諸般の都合により実現できなかった。しかし内外の著名な学識経験者を発表者として迎えることができた。
[参加者]
 参加者はこのテーマに関心を持つ政府、国会議員、学界、防衛省・自衛隊、シンクタンク、ジャーナリスト、企業等の関係者とし招待者のみの参加とした。招待範囲は日本のみにとどめず米国及び欧州諸国も含めた。この結果日本側参加者約50人、欧米参加者約30人となった。
[セミナーの運営]
 RUSIがJFSS及び駐日英国大使館と調整しながら全般的な統制を行った。英国大使館では貿易投資庁(Trade Investment)セクションが中心となって、招待状発送、会場設営、ケータリング等の後方支援業務を行った。経費的な支援については、英国大使館の協力のほか英国企業(BAE Systems、FINMECCANICA、Rolls-Royce、THALES)の支援を受けた。
 セッションの議長は、参加英国企業の中から適任者が選ばれて務めた。
[レセプション]
 セミナー終了後、大使公邸のレセプションルーム並びに庭園を使ってデービッド・ウォーレン駐日英国大使以下多数の参加者を得てレセプションが行われた。

発表内容の概要

発表内容の概要は次のとおり
セミナー概観
 
「RUSI -JFSS」セミナーへのあるコメント
 JFSSの海外調査は、日本の実情を理解させる啓発活動にとどまらず、調査対象とした諸外国官民機関が日本の防衛機器産業への関心を強く持つようになり、日本の防衛機器産業との関係構築に興味を示すことにもなってまいりました。
 「防衛産業のグローバル化」は、国際的に、特に欧米で進化している
@ 企業の合併吸収の構造
A 国の制約を緩和してまでも進められている共同(研究・開発・生産)の要件
B 国の調達契約関係にある主契約企業(メジャーコントラクター)と従契約企業(サブコントラクター)との関係
C ライセンス生産の要件
D 国及び国際安全保障への寄与
E 将来性と解決すべき課題
を顕現しております。
 これらを可能な限り具体的に抽出することは、日本の防衛機器産業界に対して諸外国の同種産業界との企業間における提携、或いは研究開発・生産の共同、ノウハウのギヴアンドテイク、人的交流などのすう勢と必要性を示唆しております。
 従って私どもJFSSが実施する調査研究のアウトプットには、わが国防衛機器産業が、国際社会において進行中である産業のグローバル化に遅れをとることが無いように、具体的且つ的確な判断が下され、効果的な対策の創生に供されるよう質の高さが求められます。しかも、わが国防衛機器産業の国際的競争力を強化するために必要な視座、示唆は、企業体の機構構築、生産・経営手法、人事、技術などの分野に及ぶことになります。これは、企業それぞれ、或いは企業の集合組織が独自に対応可能な分野であります。
 しかしながら、日本においては、防衛に関わる積極的な姿勢を否定する政策的枠組みがあって、しかも所謂「戦後レジーム」が生んだ軍事に対するアレルギーが武器輸出禁止の感情をかたくなにしているなど、わが国の防衛機器産業界の改善・強化のために必要な施策実現が抑制されているという実情を抱えております。
 昨平成21年度、日本機械工業連合会から委託された「先進防衛装備品の多国間共同開発とこれが我が国の防衛機器産業に及ぼす影響の調査」と題した調査研究成果は、英国RUSIをとおして在日英国大使主催のRUSIとJFSSの共同セッションの開催に結びつきました。
 加えて、スウェーデン国防省の来日調査の対象とした民間機関としてJFSSが選択され、スウェーデン大使主催の会議が行なわれましたが、これも調査のためスウェーデン国防省を訪問したことがきっかけとなっております。更に秋には、スウェーデン大使から関連テーマでワークショップあるいはシンポジウムの開催が求められております。
 このような機会に日本の防衛機器産業が直面している「進化のための壁」を取り除く議論が国際的に行なわれることは、現状打開の効果的な寄与となると確信致します。
 重要なアウトプットの寄与は、日本の安全保障基盤の強化であります。日本の安全保障にとって自衛隊の存在と充実は言うまでもありません。自衛隊の存在を支えるのが国民の意思であり、脅威に対する優越を支えるのが自衛隊員と装備の精強性であることを考えれば、わが国の防衛機器産業界の足腰を強くすることは、精強性を支える重大な要件の一つとなります。
 冷戦構造崩壊後の国際社会において脅威が伝統的脅威から、グローバル化した不透明・不確実性に富んだものとなりました。脅威が国外だけに存在するものではなくなったということ、およびこれに対抗して秩序の安定と維持を保つには一国だけの力では困難であって、相互扶助が必至であることも国際社会のコンセンサスとなっています。このような国際情勢に諸国が置かれて、日本には、一国の安全保障だけではなく国際社会の安全保障に対する寄与が義務と責任として求められるようになりました。
 これからの防衛機器産業は、防衛機器の研究・開発・調達・生産において冷戦時の対応と異なった運営の形態となることが予測されます。その意味においてこのような国際会議のアウトプットを、防衛機器産業に関わる諸企業が安定した運営を可能とし、それを維持するだけではなく常に伸展性に富む体制を構築出来る提言と進化に結び付けたいと考えております。その実現こそが本調査研究やシンポジウム、セッション、ワークショップの成果を活用することであって、わが国の防衛機器産業に良き示唆や視座を与えるのみならず、国および国際社会の安全保障の安定化に寄与するものと確信致しております
(文責:JFSS事務局)。
「RUSI -JFSS」セミナー風景

活動状況

JFSSシンポジウム
過去3年間の活動内容がご覧いただけます。

RUSIとのセミナー
5月12日、英国大使館で開催されたセミナーの内容がご覧いただけます。


尖閣諸島沖合事件に関する緊急提言