<特別寄稿>大使からの手紙 ―From Brussels―(その
駐ベルギー特命全権大使 坂場三男
sakaba 皆様こんにちは。駐ベルギー大使の坂場です。日本もすっかり春めいて来たようですね。私の生活しているブリュッセルも、異常といわれた暖冬が終わり、日も長くなって、一段と過ごしやすい季節になっています。
 私がベルギーに着任したのは一昨年の晩秋ですので、今、2度目の春を迎えようとしています。前任地がベトナムでしたので、生活環境は激変したのですが、「住めば都」とは良く言ったもので、それぞれの地での勤務におおむね満足して日々を過ごすことが出来ています。今回、『季報』編集部からの依頼で、向こう4回に亘り、ベルギーでの生活や大使としての活動にかかわる雑感を寄稿することになりました。折角の申し出でしたので、気軽にお引き受けしたのですが、さて、いざペンをとってみると、何からお話して良いものやら、今のところ全く見当が付きません。まあ、今回は第1回目ということですので、任国であるベルギーや生活地であるブリュッセルのこと、そして私の日々の暮らし振りなどについて思いつくままに御紹介しようかと思います。
<ベルギーという国のかたち>
 ベルギーはフランスの北、ドイツの西にある人口1100万人の小さな国です。「兄弟国」(?)であるオランダの南に隣接し、(一人当たりのGDPでは)日本と同じくらいの豊かさを享受しつつも、誠に地味な存在であり続けています。首都のブリュッセルこそ「ヨーロッパの首都」と言われ、それなりの知名度を有しているのですが、「ブリュッセルがベルギーという国の首都であることは知らなかった」などとジョーク混じりに言われるほど、国としてのベルギーは存在感がないようです。

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