【特集】 日中間の争点「尖閣諸島」再考

「日中間の争点−尖閣諸島」
中国軍エアパワーの近代化と中国の「力による現状変更」

政策提言委員・元航空支援集団司令官 空将 永岩俊道
nagaiwaはじめに
 2013年11月23日、中国政府は、東シナ海防空識別区を突如発表した。中国が今回設定した東シナ海防空識別区は、周辺諸国に対して何らの事前調整も無く、また、その形状が極めて特異であるとともに、防空識別圏の一般的概念とは異なる。しかも我が国固有の領土である尖閣諸島があたかも中国の領空内に所在するかのごとき表示を行っている。これらは一方的で強引な現状変更であり、地域の不安定化を誘発することにもなりかねない。更に、2014年5月24日には、日本の防空識別圏と中国の東シナ海防空識別区の重なる東シナ海の公海上空付近で、中国の戦闘機が日本の自衛隊機にわずか30メートルの距離まで近接して飛行するという信じがたい威嚇行動をとった。中国の強権的な行動は、このところ、中国が領土の範囲と主張する九段線の南シナ海の範囲に留まらず、東シナ海にも及んでいる。
 それにしても、今般の中国による東シナ海防空識別区の設定とは如何なる経緯・背景によるものであろうか。この小論では、中国人民解放軍、中でも中国軍エアパワーの近代化傾向に焦点を当てて分析することとしてみたい。

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