【特集】第31回定例シンポジウム報告「台湾の現状と日米台の安全保障」

 第2部「東アジアにおける日米台の安全保障問題」

≪報告≫ 「台湾が直面している危機と転機」

國防政策與戦略研究学会理事長 蔡 明憲氏
 皆様こんにちは、蔡でございます。よろしくお願いいたします。ごめんなさい(ここまで日本語)。日本語で話しても皆様に分からないといけませんので、英語で話をさせていただきます。私はその方が気持ち良く、また心から話が出来ると思うからです。少しフロアを歩き回ったりするかもしれませんが、どうぞお許しください。
 今日お招きいただきまして、私は心より日本戦略研究フォーラムに対して御礼を申し上げたいと思います。私の考えを皆様と共有させていただく機会をいただきました。これから申し上げることは個人的な見解でありまして、馬英九政権及びそれ以外の省庁を代表したものではありません。私は個人として自分の気持ち、考えをお話ししたいと思います。
 私は昨日の午後、成田へ到着いたしました。私の良き友人である海上自衛隊OBの川村純彦先生が空港まで迎えに来て下さり、先生の車でホテルまで連れて行っていただきました。快適なドライブでした。
 今回のシンポジウムで、私は次の2つの点についてお話いたします。第1に、日本、米国、台湾が共通の価値観を持っているということです。つまり、自由、民主主義、人権を尊重するという価値観です。第2は、もし日米台の協力が実現できれば、より効果的で有益な安全保障に繋がるということです。それは台湾海峡だけでなく、アジア太平洋地域の平和と繁栄に資するということです。アワー先生、川村先生、そしてゴフ先生のお話を聞く限り、皆さんにも同意いただけると思っています。3つの民主主義国家が協力することによる相乗効果は大であり、そのことによって、中国の拡大を抑止することができると考えています。
 具体的には、まず1つ目のテーマは、現在「台湾が直面している安全保障上の危機はどのようなものか」ということです。また日米も同じ危機に直面しています。つまり軍事大国として中国が台頭してきたという事実が、この地域の安全保障に大きな影響を与えているということです。そして2つ目のテーマでは、「中国が軍事大国として台頭してくる中で、台湾の安全保障は如何にあるべきか」についてお話をしていきたいと思います。

台湾が直面している危機
 率直に申しまして、現在の台湾には2つの危機があると思います。1つは経済の危機です。台湾の経済はこの何年かの間に、特に過去5、6年のことですけれども、徐々に中国という1つの市場に偏るようになってきました。

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