【特別寄稿】インドからの手紙(1

日本とインド:絆を強めるとき

パンディット・デヒーダヤル石油大学助教授 ルーパク・ボラ
(翻訳:長尾 賢)
はじめに
 冷戦が終わって以来、日本とインドの関係は劇的に進歩してきた。インドでは、日印関係強化は、政党の枠を超えて支持されており、それが日印関係の進展にとって有利な要素となっている。両国の関係はインド独立以前にも、インドにおける英国の植民地支配に対抗するためのスバス・チャンドラ・ボーズ率いるインド国民軍創設に日本が協力したことから、緊密な繋がりがあった。インド判事ラダ・ビノード・パールが第2次世界大戦後の東京裁判において日本を支持したことも、現在でも日本人の記憶に残っている。従って、その後の日印関係においても過去の歴史認識について影を落とすような問題はないということである。
 1998年のインドの核実験が行われた時は、2000年に森喜朗首相が訪印して改善した。その後、2006年になって、日印二国間関係は「戦略的グローバルパートナーシップ」関係に格上げされ1、昨年のモディ首相の訪日においては「特別な戦略的グローバルパートナーシップ関係」へと、更に格上げされた。
 第1次安倍晋三内閣時代の2007年、安部首相は日印関係についてのヴィジョンを「2つの海の交わり」としてインド議会で演説し、「日本とインドが結びつくことによって、「拡大アジア」は米国や豪州を巻き込み、太平洋全域に及ぶ広大なネットワークへと成長するでしょう。開かれて透明な、ヒトとモノ、資本と知恵が自在に行き来するネットワークです。2」と述べている。

日印を近づける要因
 日本はインドの経済改革に大規模にかかわってきた。2003年度以降、インドは、日本の政府開発援助の最大の受領国である。加えて、日本はインドにおいて、西部の運搬経路であるデリーとムンバイ、更に、チェンナイとバンガロールの産業大動脈構想のような大規模プロジェクトを進めている。

続きをご覧になりたい方は...



ホームへ戻る