【特集】第32回定例シンポジウム「『歴史戦』をどう闘うか」
《報告》
「中国が仕掛けた『歴史戦』に日本はどう対処するか」

政策提言委員・評論家 石 平
 皆様、こんにちは。ご紹介いただきました石平と申します。今日は「中国が仕掛けた『歴史戦』に日本はどう対処するか」というテーマでお話致します。

「民族の偉大なる復興」と「3つの国家記念日」を制定したことの真意
 やはり私の認識では、今の中国の習近平政権はある意味一種の国策として日本に対し全面的な「歴史戦」を挑んできたということです。勿論、習近平以前の中国共産党、つまり、胡錦濤政権にしても江沢民政権にしても、特に「歴史」というカードを持ち出して日本を叩くということがよくありました。但しあの頃は中国政府としては寧ろ外交カードとして歴史を利用するという側面が強かったと言えます。しかし、習近平政権になってからは長期戦で日本に対する本格的な「歴史戦」を挑んできたというのが現実です。
 その証拠として、昨年1年間に習近平政権が3つの国家的記念日を制定しました。いずれも日本との戦争にまつわる記念日です。1つ目が7月7日です。どういう日かと言いますと1937年7月7日に北京郊外の盧溝橋で日本軍と当時の中華民国政府軍と交戦状態となり日中戦争となりました。日本で言えばシナ事変が勃発した日ということです。中国政府は昨年からこの日を抗日戦争の始まりの記念日に制定しました。
 2つ目は9月3日です。これは1945年8月15日、大日本帝国政府がポツダム宣言を受諾し連合国に降伏した日です。これにより当時中国に駐留していた日本軍が、中華民国政府軍に降伏手続きをしたのが9月3日。つまり、中国は日本との抗日戦争に中国が勝利したという戦勝記念日としました。勿論歴史の事実からすれば、中国が日本に勝利したことは一度もありません。日本は米国には負けましたが、日中戦争に負けたのではありません。中国は米国の勝利に便乗して戦勝者になったと言っているだけです。習近平政権はそれを抗日戦争勝利の記念日として制定したのです。
 問題は3つ目の12月13日です。この日はどういう日か。1937年12月13日、当時の日本軍が中華民国の首都南京を陥落しました。中国政府の言い分からすれば、その日から所謂「南京大虐殺」が行われて30万人の南京市民が虐殺されたという話になるわけです。勿論私の個人的な見解は、所謂「南京大虐殺」は全くウソです。どう考えても当時の日本軍は南京という町で30万人殺せるわけはないし、譬え殺したとしても30万人の遺体はどこにあり、誰が数え、どう処理したか。その膨大な量の遺骨が埋葬されていれば必ず出て来るのですが、何も出てきていません。
 私は26歳まで中国で生きてきた人間です。私自身が小・中学生の頃、中国の教科書には南京の「な」の字も出て来ませんでした。一切そういう記述はありませんでした。


続きをご覧になりたい方は...



ホームへ戻る