【特別寄稿】インドからの手紙(その2

日印の海洋協力 ―高い潜在力に見合う関係へ―

研究員 ルーパク・ボラ(博士)
翻訳:長尾 賢

 インドと日本の関係はかなり昔に遡ることができる関係だが、両国のあらゆる連携の中で海洋における関係は比較的新しい協力分野である。また、インドはかつて遥か遠くの、東南アジアまで版図を拡大した海洋国家インド帝国であったが、インドが再び海洋に関心を示し始めたのが「ルック・イースト政策」が宣言された後(訳者注:1990年代)であることも、興味深いことである。
 インドの海洋における潜在性に対して日本が関心を示し始めたのは、1999年にインド海軍と沿岸警備隊が、日本が運用していた(訳者注:パナマ船籍の)貨物船アロンドラ・レインボー号を海賊から救出してからのことである。同じ年、インド沿岸警備隊と海上保安庁の間で共同演習が始まった。日本は2007年になって、インドとアメリカが行っているマラバール演習に加わり、2009年と2014年にも加わった。日本は2011年のマラバール海軍演習にも参加する予定だったが、この年に起きた東日本大震災における津波の大きな被害により実現しなかった。
 しかしながら、インド海軍と海上自衛隊の二国間共同演習が開催されるまで長い時間を必要とし、漸く2012年になって実現した。

海洋関連で何が日本とインドの距離を近づけているのか?
 多くの要因が日本とインドを海洋領域で接近させているが、それはインドが「ルック・イースト政策」を始めて以降、特に顕著である。
 まず、2014年に日本が輸入した原油のうち、約84%は中東から輸入している*1。日本にとってインド洋地域のシーレーンの安全保障と安定は経済的な成功を収める上で非常に重要である。インド海軍は、インド洋地域では(アメリカを唯一の例外として)、最も強力な海軍力であり、現在 2 隻の空母を運用しているアジアで唯一の海軍である。(訳者注:1 隻目のヴィラートの他)ヴィクラマディティアが 2 隻目として引き渡され、国産空母ヴィクラントを建造中である。同時に、アメリカのパワーと影響力が比較的落ちつつあることも、日本が新しいパートナーとしてインドに注目する一つの要因となっている。アメリカは本国でも海外でも多くの問題に直面し、アジア太平洋に対する「リバランス」にも拘らず、選択肢を制約されている。加えて、インド海軍と沿岸警備隊はインド洋地域における海賊対策においても、非常に積極的に活動している。
 第2に、インドにとっても同様に、インド洋地域におけるシーレーンの安全と安定を保つことが非常に重要になったことが挙げられる。

*1 Japan(2015),US Energy Information Administration, available at http://www.eia.gov/countries/cab.cfm?fips=ja accessed on May 13, 2015


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