【特集】知られざる沖縄の過去と現在の実態
在沖縄米軍構成員の法的地位と犯罪の防止

常務理事・東京都市大学環境情報学部講師 井 晉
はじめに
 第2次世界大戦の講和条約である対日平和条約(1952年)と同時に締結された日米安全保障条約(旧安保条約)は、米軍が長期にわたって沖縄を始め日本の領域で駐留することを可能にしたことから、国民の一部はこれを戦力の拡充として反基地闘争が激化した。その後日米両国は、日米安保体制を一層強固なものとするため、1960年1月、旧安保条約に代わる日米安全保障条約(新安保条約)の締結に合意した。同条約は、同年6月に発効したことから、旧安保条約は自動的に失効した(第9条)。旧安保条約は、米軍の駐留権確保を主目的として締結されたのであり、新安保条約は、旧安保条約の内乱条項が削除され、純粋な共同防衛的性格の条約となった。
 新安保条約はその有効期間を10年とし、それ以降は日米いずれか一方の意思があれば、1年間の予告で廃棄できることになった(第10条)。この自動延長方式を採用した新安保条約は、10年が経過した1970 年以後も破棄されず、現在も効力を有している。新安保条約と同時に締結された米軍の地位協定(日米地位協定)は、日本がアメリカ軍に施設や地域を提供する具体的な方法を定める他、米軍施設内での特権や免除や裁判権などを定めている。
 この小論では、沖縄における基地反対闘争の一因とも言われる在沖縄米軍構成員が行なった凶悪犯罪との関連で、米軍構成員の法的地位及び犯罪防止に向けた日米両国の取り組みが再吟味されている。




続きをご覧になりたい方は...



ホームへ戻る