【講座】

帝国主義列国に翻弄された日本帝国(上)

政策提言委員・高知大学名誉教授 福地 惇

fukuchiT 近代日本の諸戦争は外から遣って来た
 第二次世界大戦以後の世界の歴史常識は、勝利者連合国は正義、敗北者枢軸国は悪、これである。日本は邪悪な侵略戦争をして近隣諸国に多大な迷惑をかけた戦争犯罪国家だという訳だ。
 アメリカに占領されていた時代にこの歴史認識を受け容れたところから政治・外交の衰弱が進み、真の独立主権国家への復興も渋滞して、近隣諸国からの恥辱を受け続けている。また、理不尽な対日内政干渉を喜び背後でやれやれと教唆する国内勢力が存在するから、事態の打破は至って困難なのである。
 他方、多くの日本国民は、政府が幾ら謝罪し続けても、何時までも謝れという近隣数カ国の要求が延々と続くのは不快ではあるが、その意味が分からなくはない。善良な一般国民のご先祖たちは邪悪な侵略戦争を軍部に誑かされて遣らされた、悪いのは戦前の軍部とそれに追従した政治家だと国民教育や有力メディアから長年教えられてきたからである。中でも、それを馬鹿正直に理解した反日左翼は反日国家に阿諛迎合して、政府に謝罪を続けるようにと強要する。だから、「善良な国民大衆」はあの戦争は謝罪する必要があると思い込まされている。
 しかし、「歴史を直視」すると近代の諸戦争に関する普及した物語は、そして日清・日露戦争から大東亜戦争の敗北までの物語は原因と結果とが真逆かも知れないのだ。近代日本の対外戦争の原因は外から静か且つ執拗にやってきたと言えるのである。それが、筆者の見解である。普及する歴史認識を疑えというのが本講座の主旋律である。今回(今号と次号)は、近代日米関係の一側面を記してみたい。




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