【特集】第33回定例シンポジウム報告「日本の領域は守られているのか」
《報告》
我が国を取り巻く安全保障環境の認識と課題
―陸上自衛隊の立場として―

政策提言委員・元陸上幕僚長(元陸将) 火箱芳文

 ご紹介頂きました火箱でございます。今日は海空の諸先輩から我が国の安全保障態勢につきましてお話がありました。私は陸上自衛隊に長く務めて参りましたが、やはりブーツオンザグラウンドと言いますか、国を守る、領土を守るということが最終的な大きな目的だと考えております。そういう意味で我が国を取り巻く環境、海洋進出や中国が進めている島嶼問題等は諸先輩が仰った通りでございます。
 私は、我が国を取り巻く安全保障環境という中で、3つの正面が重要だと考えております。1つ目は中国の南西方面、2つ目は北朝鮮の朝鮮半島方面、3つ目はロシアの北方正面。更に中国は昨年10月から小笠原正面における大量のサンゴの密漁をしました。これについては我が国は現在手つかずの状況であります。この問題について私は米軍のニミッツルートとマッカーサールートで日本を占領しに来た時のように、中国は既にそのことをも視野に入れているのではないかと、これが今後の課題であろうと思っています。
 現在の陸上自衛隊の運用態勢の現状につきましては、通常の態勢としまして5個方面隊に大きく分担させ災害派遣を含む防衛警備の即応態勢を維持しています。また状況に応じ、中央即応集団隷下部隊を配属させて我が国の領域警備に当たるということになっております。海外任務は基本的には各方面隊から選抜された部隊が待機しており、いよいよ派遣される時には中央即応集団が運用するということで、我が国及び海外の任務に対応しております。
 現状では、新しい大綱では編成の定数が15.9万人ですから、常備自衛官15.1万人、即応予備自衛官8000人で運用しています。基幹部隊として中央即応集団と第7師団、地域に配備している8個師団と6個旅団という体制で、他に地対空誘導弾部隊や地対艦誘導弾部隊といったものが含まれています。大きくはこのセットをもって日本の防衛に当たっているというのが現状です。




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