【特別研究】フランスから見る欧州・中東・アフリカ情勢(その2)

最近の西アフリカにおけるテロ動向
― マリ、ブルキナファソ、コートジボワールでのテロから ―

研究員・S.Y. International 代表 吉田彩子

 最近はダーイッシュ(ISIL、イスラム国)によるテロ活動の活発化等から、テロリズムというとダーイッシュの支配地域であるシリア-イラクに注目が集まるが、北・西アフリカ、特にサヘルを中心とする地域でのテロリストグループの活動は、関係諸国にとって以前から問題となっていた。
 この地域でのテロリズムの根源は、1990年代のアルジェリア戦争で活動していたGIA(武装イスラム集団)であるが、そこから出来た分派であるGSPC(Groupe Salafaiste pourla Predication et le Combat)がアルカイダに忠誠を示し、2006年にはAQIM(Al-Qaidain Islamic Maghreb :マグレブ諸国のアルカイダ)が設立された。
 AQIMはサヘル地域に中央政府の力が届いていないことを利用しながら影響力を増していった。マリ北部では、MUJAO(2011年に出来たAQIMの分派)やAnsar Dine(2012年から活動しているトゥアレグのアグ・ガリをリーダーとするサラフィストグループ)等の武装過激派グループが、この地域に以前から存在していたトゥアレグ族の独立運動と混ざりながら勢力を増し、リビアのカダフィ政権崩壊(2011年)の影響を受けながら、2012年のマリ紛争へと繋がっていった(JFSS『季報』Vol. 62(2014年10月号)P49〜参照)。
 マリ紛争の悪化により、2013年1月には仏軍の介入(セルヴァル作戦)が行なわれ、一時は落ち着いたように見えたが、テロリストの活動は続いており、その後2014年8月からは、仏軍がサヘルG5諸国(モーリタニア、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、チャド)とともに地域全体の武装テログループの撲滅を目的としたバルハン作戦を行なっている。
 日本では、2013年1月にアルジェリアのイナメナスにある天然ガス処理プラントで起きたテロ襲撃事件で10人の日本人の犠牲者が出たことにより一挙にこの地域への関心が高まったようだが、旧仏植民地であるサヘル地域の国々における治安悪化は、フランスにとって以前から懸念されていたことである。
 アフリカでのダーイッシュの活動は、2014年からリビアを中心に活発になっている。ナイジェリアを中心に活動するボコハラムも、2015年3月に忠誠を示しダーイッシュの“西アフリカ支部”となり、地域全体における大きな脅威となっている。“ダーイッシュ対アルカイダ”という構図もあり、この2つの組織は競争関係にあるのだが、同じサラフィージハード主義でシャリアを押し付ける極度に暴力的な武装テロリスト集団だ。




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