日中国交正常以降、日中間の外交では常に「日中友好」なる言葉が声高に叫ばれてきた。だが、無条件にこの「日中友好」なる言葉を多用してきた結果、中国は「歴史教科書」や「靖国神社」、「尖閣諸島」を利用して日本叩きをし、逆に日本は、その都度、困惑、狼狽、遠慮を繰り返してきた。「柔らかい土は深く掘れ」という「軟土深耕」と呼ばれる中国流の外交処世術のターゲットにされてきたのである。
尖閣諸島沖で起きた海上保安庁の巡視船と中国の漁船との衝突事件における中国人船長の不可解な釈放劇は、その象徴とも言える事案であった。日本は完全に中国に舐められている。
9月25日付の「産経新聞」に、尖閣諸島に近い与那国町漁業協同組合の中島勝治組合長の言葉が紹介されている。「国交を断絶してでも、 起訴すべきだった。中国の圧力に負けてみんな憤慨している」―。漁民たちは今、不安と恐怖に脅えながら日々を暮らしているのである。外交は、平穏無事に波風が立てぬよう臨んではならない。テーブルの上では笑顔で握手をしながらも、テーブルの下では足で蹴り上げるという要素がなければ、主体性を失う。
事件の直後、中国共産党のシンクタンクに勤務する友人が来日し、筆者に言い放った。「日本外交は中国外交の『強かさ』や『嫌らしさ』を見習った方がいい」―。この言葉を菅直人内閣に送りたい。 |