英訳  

自国の歴史に向き合えない中韓
―政権延命の「反日」利用―

 
理事・政治評論家  屋山太郎 

 中国は今年、国連創設70年を記念して、大がかりな「反日宣伝活動」を計画している。そのさきがけに、2月、国連安全保障理事会の幹事国として中国は「反ファシスト戦争の勝利」と名付けた討論会を主宰した。主宰者の中国の王毅外相は「(加盟国の中に)過去の侵略の犯罪を糊塗しようとしている国がある」と暗に日本の“歴史認識”を非難した。これに対して日本の吉川元偉国連大使は「日本は深い反省の念に基づき、平和を愛する国家としての道を歩んでいる」と反論した。
 中国は世界の先頭に立って、自らが反ファシズム戦争を勝ち抜いた国というイメージを打ち出したいようだ。政権に対する強い批判を日本に向けることで政権の延命を図るのが常だ。その姿勢は韓国も同様で、朴大統領などは口を開けば「歴史認識」と言う。
 中・韓両国が「歴史認識」という意味は、南京虐殺や慰安婦問題に限られている。この解り易い2つの言葉で、日本の国際的評判を貶め、経済的にも政治的にも自分達が優位に立とうという思惑だ。
 しかし抗日戦争の主役は国民党が主導した「中華民国」の国軍で、のちに中華人民共和国の軍隊となる八路軍は日本軍と戦争したわけではない。太平洋戦争が終わったあとの内戦で中華人民共和国の側が中華民国(台湾)に勝ったのである。中華人民共和国の建国は国連が発足した1945年10月の4年後、49年10月だ。その中国が台湾に代わって国連に加盟したのは更に22年後の71年10月だ。
 現在の中国政府は国連の原加盟国でもなければ、反ファシスト戦争の主役だったこともない。「歴史認識」を言うなら、自分の立ち位置もきちっと認識して貰いたい。更に言うなら、共産党の独裁政権であって、何千年も選挙というのを1回もやっていない歴史を持つ。
 韓国の歴史認識の実態は「戦時中の慰安婦に補償金を払え」というものである。歴史認識というなら朝鮮半島は1000年この方、中国の属国であり、明代になって「李王朝」を名乗らせて貰った身である。日帝36年の支配は韓国民にとって口惜しかったろうが、これは「国家の併合」であって「植民地」ではない。併合はドイツとオーストリアの関係であって、イギリスとインドの関係ではない。朝鮮の人に日本「臣民」と同じ待遇を与えたのである。30%もいた奴隷は当然解放され、コメの生産は2倍に増えた。小学校は5200も建設された。イギリスのインド経営は植民地経営であり、何百年も経営しながら、イギリスは小学校1つ建てたことはなかった。
 慰安婦は戦時中、どこでも“商売”であって、奴隷とされたことは一度もない。“女狩り”をされたという風評は朝日新聞が昨年8月まで書き続けたヨタ記事のせいだ。さすがの朝日新聞も32年間に16本のヨタを載せたことを認めた。韓国の近代化、発展は日帝36年間の併合がきっかけだと、まともな歴史学者は言う。


(平成27年3月11日付静岡新聞『論壇』より転載)

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