尹氏の的射た外交安保政策

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政策提言委員・拓殖大学主任研究員・元韓国国防省分析官 高 永喆

 去る11月12日、野党第1党「国民の力」の次期大統領候補、尹錫悦氏がソウルの外信記者クラブで外交•安保政策を披露した。主要骨子は以下の通りだ。
 第1に米韓同盟を強化すると同時に、米国が構築する「クワッド」、「ファイブ•アイズ」情報共同体と協調する。第2に、“主従関係”に陥った南北関係を正常化し、ミサイル防衛システムを構築して北朝鮮の核無力化を目指す国際協調体制を強化する。第3に、韓日関係は1998年に金大中•小渕恵三両首脳が発表した21世紀の新しい韓日パートナーシップ共同宣言を生かして自由民主の価値を共有する。第4に、韓中関係は相互尊重の対等な関係とし、3不路線(THAADミサイル追加配備不可、韓日米軍事同盟不可、米国MD体制参加不可)を撤廃する。
 特に、北核問題は南北問題でなく国際問題であり、文政権が求める「終戦宣言」は在韓米軍と国連軍の無力化に繋がるので反対すると表明した。
 米韓同盟と日米同盟に基づく韓日米を中心としたグローバルな自由民主大連合を目指していることが窺える。現在の南北関係や国際関係の中で的を射た政策内容であり、大多数の国民は好意的に受け止め、尹氏の支持率は急上昇している。韓国社会世論研究所(KSOI)が12、13の両日実施した調査によると、尹氏の支持率は45.6%であり、政権与党「共に民主党」の李在明候補の支持率は32.4%にとどまっている。両者対決の場合は尹氏が50.2%で、李氏は36.0%を下回っている。
 「李氏側がネットの書き込みで尹候補のスキャンダルを書き立てても、狙い通りの効果は上がっていない。文在寅政権の不動産政策の失政、政府高官•側近の不正疑惑などが野党側に追い風となっているのだ。」
 さらに、李氏個人の飲酒運転や公職選挙法違反など4回の前科や市長時代の都市開発をめぐる大型不正疑惑と兄嫁に悪態をつく音声データの流出なども李氏にとってマイナス材料だ。対外政策では、多くの国民が文政権の屈辱的な従北路線と従中路線に不満を感じており、李候補が文政権と同様に反米、反日路線と従北、従中路線を主張していることが支持率下落の大きな要因となっている。
(2021年11月22日付『世界日報』コラムより転載)