第47回定例シンポジウム
「台湾海峡危機 ―日本の備えと役割―」に参加して

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拓殖大学政経学部法律政治学科 丹羽文生ゼミナール3年 鹿野秀太

 私が台湾有事の政策シミュレーションを経て開かれた今回のシンポジウムで特に注目したのは、敵国によるサイバー攻撃を含めた武力行使の情報認定プロセスである。昨今、そして今後、起こり得るであろう軍事衝突で重要となるのが第6の戦場とも言われる「認知戦」であろう。世に出回る情報の信憑性を、いかに適切に解析・処理するかなど、敵の仕掛ける認知戦に左右されない「胆力」が情報認定プロセスにおいて大きなポイントとなることを強く感じた。
 仮にサイバー攻撃が中国によるものかどうかを特定する際、アメリカ・台湾からの情報、自衛隊サイバー部隊からの情報、さらには海底ケーブルの切断を始めとするトラブル事案など、多方面からのソースを組み合わせて適切な情報認定を行うと、報告の一部にあった。多方面から情報のソースが集まり、それを照合させることによる情報認定は、適切で明確な根拠を持つというメリットがある。しかし、情報が錯綜する中で、正確な情報の速達性が阻害される可能性も大いに有り得る。さらに情報を集めた上での判断は最終的には、決定権があるリーダーに委ねられる。正確かつ速達性があり、しかも強靭で安全性に優れた太い情報網を構築しなければならない。また、パネルディスカッションで首相の判断力、責任感が強調されていたように、やはり国のトップの決断が、その後の展開を左右し、国際社会における日本に対する評価の起点になると考える。
 近年はSNSの発展により、有事における情報を一般の民間人が得易い状況にある。今回のパネルディスカッションでもSNSの利用、特に動画の重要性が取り上げられていた。世界に向けて、よりリアルで正確な情報、日本の立場と正当性を容易に発信しできるコンテンツである。しかし、SNSは公式の情報と一般人が発信する情報が混在する場所であり、間違った情報が流布される危険がある。活用には注意が必要である。
 今回は初めての参加だったが、台湾有事における様々な状況を想定した上でのシミュレーションの報告を受け、多くのことを学ばせていただいた。日本に迫るリスクとそれに対する対応策を考え、同時に国民の台湾有事への危機意識、安全保障観を高めていくことも重要であると感じた。そして、それを担う存在として日本戦略研究フォーラムへの期待が非常に大きいことが理解できた。