新しい時代に対応できる国家へ

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産経新聞ワシントン駐在客員特派員 古森義久

混迷する国際情勢の中で
 2017 年の世界は今この3 月という春の段階でも混迷の極にある。勿論、国際情勢がカレンダーに合わせて動くはずはないが、時系列の一つの区切りとして昨年末から今年の始めにかけての世界の潮流を見ると、激動とか不安定という特徴がまず顕著である。それも日ごろの一進一退の揺れではなく、もっと構造的な変化や変革を感じさせるうねりなのだ。
 2017 年の世界での大きな出来事といえば、アメリカでのドナルド・トランプ大統領の登場が最初に上げられよう。アメリカの政治の歴史でも、いや世界の主要国の歴史でも、型破りであり、例外的な特徴を示すトランプ氏の当選とホワイトハウス入りは、超大国アメリカ内外に激震を広げた。混迷や不確実性を印象付けることともなった。
 だが視点を変えて、トランプ政権を取り巻くアメリカ内外の諸情勢を多角的に俯瞰すると、トランプという人物が混迷をもたらしたというよりも、混迷があったからトランプという特殊な人物が旋風のように出現した、と評する方が正確にも思える。トランプ大統領と世界の混迷とは原因と結果が実は逆なのではないかという印象である。
 いずれにしてもトランプ大統領の言動や政策は既成の秩序や価値観を激しく揺さぶるという点で、まるでこの世界を新しい時代に突入させたかのようにさえ見える。トランプ政権の登場が世界の新たな環境や秩序を象徴するようにも思われるのだ。
 こうした変化は我が日本にとって何を意味するのか。
 アメリカは当然ながら世界で唯一の超大国であり、日本にとっては唯一の同盟国である。そのアメリカを震源として起きる激しい変化の波が日本を根底から揺さぶることは当然だろう。ではその変化は具体的には何なのか。日本はその変化のうねりにどう対応すべきなのか。
 こうした諸点を本稿では論考したい。筆者は今はアメリカと日本の両方を拠点として活動するが、過去30 年ほどの殆どはワシントンにフルタイムで駐在して、アメリカの首都での動きを日本に向けて報道してきた。今の世界の現状をまずそのワシントンからの視点で伝えたい。

ワシントンから世界を見る
 ワシントンでは現在の世界が基本的、構造的に、激しく大きく変化して、未曾有の危機を迎えたという認識が広まっている。総括すれば、以下のような認識と警告だと言える。