3月11日の大地震ならびに大津波でお亡くなりになった方々のご冥福を
お祈りするとともに、被災者の方々に心からの御見舞いを申し上げ、
一日も早い復興をお祈り申し上げます。

「中露関係、米露関係変化の兆しか?」 
政策提言委員  福山 隆
 519日付読売オンラインに「ロシア、北朝鮮に小麦5万トン人道支援へ」という記事が目を引いた。
 この記事によれば、ロシア外交筋の話として同国のフラトコフ対外情報局長官が北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記と平壌で会談し、食糧支援や核問題を協議した由。同筋によると、ロシアは人道支援として小麦5万トンを近く北朝鮮に送る方針という。会談では、2国間の経済協力のほか、韓国も加えた天然ガスのパイプラインや鉄道、送電施設の建設も協議した由。
 ソ連崩壊後、遠慮気味だったロシアは中国に張り合って、久しぶりに朝鮮半島に食指を伸ばそうとしているように見える。ソ連時代の情報機関・KGBで対外諜報を担当していた第一総局の後継機関である対外情報局(CBP)長官(フラトコフ長官)が表に出てきたことも意味深な気がする。
  金正日の思いはどうだろう。先ごろ訪問した米国のカーター元大統領にも会わず、人見知りすることで知られる金正日が直接会談するという力の入れようが、北朝鮮のスタンスを物語る。中国の重圧で窒息しそうになっていた金正日には、長く待ち望んでいた救援者が来たと思うに違いない。
 ロシアは、中国がナソン地区・港湾に進出する気配を見せていることは許せないと思っているはず。ナソンが中国の支配下に置かれれば、極東ロシアからの朝鮮半島へのアクセスが立ち切れる形になる。
 ロシアは最近、北朝鮮のみならず、韓国とも急速に距離を縮めており、韓露間の経済連携には、目を見張るものがある。尖閣諸島問題による日中関係の悪化や北朝鮮の後継者問題による動揺が起きる中、韓国とロシアが北朝鮮をも巻き込みながら急接近している。
  ロシアの高等戦略は「北朝鮮」・「韓国」という括りを外した、朝鮮半島全体を視野に置いたアプローチのようだ。
 冷戦崩壊後、一極支配の米国を睨んで、中露蜜月時代が続いたが、中国が著しい台頭を見せ、ロシアの権益に触れる新疆やアクサイチン正面などへの勢力伸張と共に、半島が完全に手篭めになる恐れからロシアは一定の巻き返しを図りはじめるのではないだろうか。
  ベトナム戦争の推移なども絡み、中ソ関係が悪化する中、米中が接近した史実を思えば、今後地球的規模のパワーバランスを勘案し、米露が接近するシナリオも排除できないのでは。
 一方、北朝鮮の立場からすれば、ロシアというもう一枚の使えるカードがあれば、中国から安く買い叩かれることが無くなり、逆に「売り手市場」に変えて、過去のように複数の「恋人」を競わせる枠組みができると喜んでいることだろう。
 519日付毎日新聞記事「北朝鮮:「5〜7月の配給停止』…WFPに先月伝達」は、北朝鮮の食糧不足の深刻さを伝えている。そんな中、米国のボスワース北朝鮮担当特別代表は17日、米国は北朝鮮の食糧事情の把握に向けた特使派遣の是非を早急に決めると述べた。先に触れた、ロシアによる小麦5万トンの人道支援に加え、米国からの食糧支援が実現すれば、苦境にある北朝鮮としては「干天の慈雨」にも似た支援を得ることになる。
 米露によるほぼ同時期の北朝鮮支援の話は、偶然だろうか。穿った見方をすれば、米露は中国の北朝鮮に対する過度の影響力が及ぶことを協力して阻止しようとしているとも受け取れる。
 現職時代と違い、衛星写真も無ければ秘密情報も無い中で想像(妄想?)だけが膨らむ昨今である。下司の分析をお笑いください。
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