「瀬戸際外交」の悪循環続く
 
  

                                                                   研究員拓殖大学国際開発研究所

                                                        高永

   

 外国プレスも数多く招いた中での打ち上げ失敗は、北朝鮮にとって国内外共に恥ずかしい失敗となった。
 この日、最高人民会議で後継者の金正恩が国防委員長に任命されることをお祝いする花火の意味合いがあったからだ。失敗の原因は、気象状況に加え、技術的欠陥だろう。当日は発射地域上空は雲が多く、気流も不安定だったため飛行体にトラブルが発生しやすい状況だった。この点も大きいのではないか。
 今回は北朝鮮は異例にも失敗を認めた。発射指示を下したのは金正恩だが、最高指導者である彼には責任は問われない。ただ実務責任者は責任を問われよう。弾道ミサイル開発の実務責任者は3人おり、今年2月の人事で金正恩の側近として登場した。実務の総責任者の朴道春は労働党中央軍事委員長兼党軍需秘書。
 同開発の実行責任者は朱圭昌で労働党機械工業部長も務めている。白世鳳は第2経済委員長としてミサイルの生産責任者だ。3人のうち誰かが粛清(懲戒免職)あるいは粛正(人事異動・左遷)の可能性が高い。とはいえ金正恩も後継体制に細かい傷が付けられたことは間違いない。
 今後、日米韓3カ国は、失敗しても発射自体が国連安保理決議に違反するとして追及しよう。しかし、過去の経緯からみても、北朝鮮は今後も緊張造成→挑発→危機造成→対話再開→対話決裂という「瀬戸際外交」の悪循環を繰り返すのではないか。北朝鮮が3度目の核実験や韓国の天安艦撃沈、延坪島砲撃のような挑発をすれば、韓国は我慢の限界に陥り、必ず反撃・報復に踏み切ろう。
 中国も、北朝鮮の弾道ミサイル開発・核実験については米露日韓と足並みをそろえてはいる。だが、北への説得にも限界がある。なぜなら、北朝鮮はいつも自主国防のため、“インド・パキスタンと同様に核保有国として認めてほしい”と主張しているからだ。 今回の発射で日本政府は確認に手間取った。慎重な確認も重要だが、安全保障、危機管理対策は時間との戦いであり、危機管理体制を総点検、再整備して戦時シミュレーショーンを繰り返すべきだ。
 今回は北の予告期間があったからイージス艦やPAC3など迎撃ミサイルシステムを配備できたが、「本番」なら配備移動の余裕などない。いわば奇襲攻撃に備え充分な対応がとれるよう、これらミサイル防衛システムの配置を増強し抑止力をきちんと整えるべきだ。 (元韓国国防省北韓分析官)(談)

                                                             (世界日報 オピニオン 2012年4月14日)
 
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