カナダ軍初の女性士官であり現在大学教授の著者が執筆した本書を、戦略・戦争研究の世界的な権威たちが絶賛している。本書の内容は、冷戦後の軍事戦略理論の概要を戦力ごとにまとめたものだ。章立ては「シーパワーの理論」「ランドパワーの理論」「エアパワーの理論」「テクノロジーの進化と統合理論」「ゲリラ戦の理論」「サイバー戦争の理論」「核戦力と抑止理論」「スペースパワーの理論」となっている。
本書は、マハン、コルベット、クラウゼヴィッツ、孫子、毛沢東、ドゥーエなどの古典的な戦略思想家から、トフラー夫妻、クレピネヴィッチ、クレフェルト、ランベス、ハメスなどの現代の専門家の考えまでを幅広く取り上げている。古典的戦略思想を踏まえて現代の戦略理論をバランスよくまとめているのが本書の最大の特徴であり、軍事・安全保障関係者の必携書と呼ばれている。また将来の軍事戦略の方向性を理解するためにも広く読まれるべきである。
日本人が戦略理論の要点を理解するようになれば、安全保障の議論がより深まることは間違いない。国家に対する現代の多くの脅威に対応するためには、豊富な戦略家が必要であり、この本はそんな戦略家の育成にも大きく資するものである。
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