理事・政治評論家
 屋山太郎



  

 国民の知らない「公務員の常識」
―「大阪維新の会」がその常識をぶっ壊す―
 
 公務員の規律の無さ、行動原理が国民の利益に反していることに、半分、諦めの境地だった。しかし大阪維新の旋風はこの諦観に風穴が開くような期待感を抱かせる。 
 最近、橋下大阪市長は庁内にある組合事務所を引き払って外部に設置するよう要求した。これは“小さな意地悪”のように聞こえるが、国鉄改革の第一着手は、政治活動を一義とするような国労に国鉄敷地は貸せない。国鉄本部を引き払ってくれというものだった。国鉄はのちに借地を取り返して商業ビルを建てた。 
 改革には初歩的な秩序の回復から始めるのが常識だ。橋下氏は職員基本条例を制定して同じ命令に3回服さなかったら免職、教員条例も国歌を3回起立斉唱しなかったら免職というものだ。これは東京都の5回で免職より一段と厳しい。国、公立小中学校の教師で国歌斉唱に起立しない、或いは国旗にも顔をそむけるというような者が許されるのか。世界の常識に反する。 
 職員や教員がタダ同然の庁舎内の組合事務所で“政治活動”をしていたことが全国的に恒常化していること自体が間違いだった。 
 橋下氏の改革は目立つことから注意するということではなくて、不法行為の根源を断つというオーソドックスなものである。 
 同じ職員・教育基本条例は、目下大阪府議会で審議中であり、近く可決されるだろう。市議会では「維新の会」が第一党ではあるが33票、あと11票で過半数というところまできている。市長の快勝によって中間派に動揺が起きているから、市議会でも可決ということになるかも知れない。 
 よしんば市議会で否決となっても国が明らかに「地方公務員法」「地方教育行政法」に違反だという県条例が成立してしまうのである。橋下氏は「ああそうですか」と言って引っ込める人物ではない。この真っ当な条例が引っ掛かるなら、国の法律が間違っているのではないかと、根源的議論を起こそうというのが本心なのである。 
 すでに府と市を一体化する構想を出し、府、市の首長選挙で圧勝した。この大阪都構想には「みんなの党」が全面的に賛成し、12年の通常国会に「地方自治法改正案」を提出する段取りを整えている。この構想が地方自治法とは別枠の「特別立法」で成立することをみんなの党は考えているわけではない。国の姿を変える地方分権法、道州法に至る展望を考えている。 
 同様に職員基本条例は「国家公務員法」にも大影響を与えるし、教育基本法は既存の「地方教育法」、「地方教育行政法」に甚大な影響を与えるだろう。戦後の立法で官、公労働者は過大な権利や暴挙を是とする根拠を得ていた。 
 今こそ公務員は“普通の人”になるべきだ。官民給与格差、年金の格差、天下りのし放題など官民格差はあまりにも酷い。国民は消費税を上げるのはやむを得ないと思っていたが、その比率が下がりつつあるのは、官の贅沢が目に余ると、はっきり解ってきたからだ。
                                                                                                                                     (12月28日付静岡新聞『論壇』より転載)
 
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