日本はイスラム国テロリストの脅しに絶対に屈してはならない
(その2
−脅しに対して、日本は具体的に何をすべきか−

政策提言委員・軍事アナリスト  西村金一

1.テロリスト達の脅しとは
(1)脅迫映像は何を意味するのか
 イスラム国の敵対勢力である人民への人道支援は、敵対行為であるとみなし、日本をイスラム国の敵対勢力と決定づけた。

(2)脅迫の映像が合成であったとしても、何も意味しない
 映像は合成であると判定できる。それで何かが変わるのかというと、「実際に日本人を拘束していること」、「2億ドルの身代金を72時間以内に支払えと脅していること」には変わりがない。

(3)脅しの狙いは何か
 一つは、身代金を取って、イスラム国の軍資金にすることである。もう一つは、敵対する同盟国を分裂させることである。日本の弱腰を見透かして、その隙をついてきた。敵対する同盟国の中で、対テロの意識が最も弱い日本を揺さぶることによって、同盟国の分裂を企図している。

(4)イスラム国のテロリストは、今後、日本に対して何をしてくるのか
 イスラム国が、日本を敵であるとみなしたことから、海外の日本人・企業に対してテロを行う可能性が飛躍的に高まった。その際、シリアやイラクに存在するイスラム国テロリストが日本に侵入してくるのではなく、アジア(日本を含む)で育ったホームグローンテロリストが日本に来て、テロを実行する可能性がある。特に敵対する日本で行われる東京オリンピックへのテロの公算が高まった。

2.日本は具体的に何をすべきか
(1)日本の政府やマスメディアは情報発信に気を付けること
 日本国内に、イスラム国への情報提供者がいるのではないかと考える。日本がかつてハイジャックの脅しに負けて服役拘留中の日本赤軍を釈放し、身代金を支払ったことをイスラム国は知っている。日本のことを十分に研究しているとみてよい。これらは、イスラム国が独自に調べているのではなく、日本の中に、イスラム国に協力する者がいて、情報提供をするとともに、「日本人を脅迫する行為」のアドバイスを行っていると見たほうがよい。
 したがって、イスラム国テロリスト達の動きや情報発信に、日本政府や日本のマスメディアは動揺しないことだ。日本にいるイスラム国の支援者を通じて、イスラム国に情報が伝わり、日本がイスラム国テロリストとの情報戦争に敗北する可能性がある。

(2)誘拐された日本人を救出するためにお金を払うとどうなるのか
 どのような方法であれ、身代金の全部あるいは一部でも払うと、脅しに屈したとみなされる。そして、第2、第3の誘拐が行われる公算が高くなる。イスラム国は、それらを軍資金として武器や弾薬を購入し、その武器で多くの人々を殺害する。さらに、その勢力圏を拡大していく。そして、国際社会の対応はますます困難になる。




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