米国が実施した「航行の自由作戦」に対する評価

ハーバード大学アジアセンター シニア・フェロー
/政策提言委員
 渡部悦和

・米国の「航行の自由作戦」(FONOP: Freedom Of Navigation Operation)は当然の作戦であり、妥当な作戦であった。FONOPの実施により、米国の航行の自由などに関する主張を貫くことができたし、中国のアジアにおける覇権的行動やサラミスライス戦術に対して一定の歯止めをかけた。FONOPの実施を待ち望んでいた一人として嬉しく思う。

・しかし、厳しい言い方をすれば、オバマ大統領の決心は遅すぎた。もっと早く実施すべきであった。中国に対して宥和的であったオバマ大統領の対中認識を変えたのは、米中首脳会談における習近平主席の余りにも強硬な人工島に関する主張であった。中国は米中首脳会談において自ら墓穴を掘ってしまったのである。

・米国は、今回のFONOPを一回きりの作戦で終わらせることなく、恒常的な作戦として継続すべきである。当然ながら中国からの反発はあるであろうが、毅然として中国の反発に対処し続けてもらいたい。

・我が国やフィリピンのFONOPに対する高い評価は極めて適切であった。一方で、韓国のFONOPを明確に評価しない中国寄りの姿勢は米韓同盟にとってマイナスであるし、アジア太平洋地域の安全保障にとってもマイナスであった。

我が国としては引き続き、日米同盟の強化の観点で米軍の活動と協調していくべきである。




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