「闘う野党」としての気構えを示せ
政策提言委員・拓殖大学海外事情研究所助教
 丹羽 文生
 自民党が次期衆院選で掲げるマニフェスト(政権公約)「日本の再起のための政策」原案が発表された。首相公選や参院廃止といった刺激的な項目が並ぶ大阪市長の橋下徹率いる「大阪維新の会」の政策集「維新八策」原案が出たばかりということもあってか、注目度は今一つである。
 ただ、党是である憲法改正を項目のトップに入れ、「生活保護の見直し」を始め、「天は自ら助くる者を助く」の精神、すなわち「自立」を基本とした「福祉」を盛り込んだことは高く評価できる。前回衆院選のマニフェストと比べれば、随分と自民党らしくなった。
 一方、国民の関心が高い消費税については、どうも曖昧だ。一昨年の参院選で、消費税率を「当面10%とする」と掲げた以上、同じように「消費税(当面10%)を含む税制抜本改革」を入れるのは当たり前と言えば当たり前だが、そうであるならば、方向性が一致する民主党との与野党協議に応じ、しっかりと対案を示すべきである。
 19年前、細川護煕連立政権がスタートした時の自民党は、「闘う野党」としての気構えに溢れていた。細川に自民党としての「緊急総合景気対策」を突き出し、「特許使用料は請求しないから、いい点は取り入れろ」と提案したこともあった。それぐらいの度量の広さが必要だ。
 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関しては「交渉参加反対」とした。交渉の場に挑むことそれ自体を拒否するのは、政権奪還を目指す政党として実に頼りない。従来のように国際社会のルールの上に乗っかるのではなく、自らそのルールの策定に参画するという強い意欲を示してほしい。そのためには交渉に参加しか方法はないのだ。
 もちろん、それを素人集団たる民主党にさせるのは危険極まりない。ベテラン政党たる自民党にしかできない。「自民党ならば日本の国益を確保するためのルールの策定に、このような姿勢で臨む」という方針を国民の前に提示すべきである。
 残された時間は、あと僅かしかない。国民に「やっぱり自民党だ」と思わせるような「伝統政党」らしいマニフェストが出てくることを期待したい。

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