朝日新聞に出たトランプ政権の対日、対台湾政策の真実

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顧問・麗澤大学特別教授 古森義久

 朝日新聞といえば、長年、米国のトランプ政権の対日政策には疑念を述べてきた。トランプ大統領が日米同盟を堅持しないだろうという明示や暗示を多数の「識者」に語らせてきた。トランプ政権の中国政策、特に台湾政策も融和を重ね、有事でも台湾を守らないだろうという見解を押し立ててきた。
 ところがその朝日新聞がトランプ政権の対日、対中政策に関して、上記の意見とは異なる、真実と思える見解を7月6日の朝刊紙面に載せた。トランプ政権は日米同盟を世界でも最重要な同盟とみなし、米国の安全保障も全面的に日本に依存し、中国に対しては台湾をあくまで防衛することが真意だというのだ。朝日新聞の国際情勢への報道を一貫してみてきた側にとっては奇異が現象だった。まさか真実の重みに耐えかねての軌道修正とまではいかないだろう。
 
 朝日新聞7月6日朝刊は国際面の「Question」という題のインタビュー記事を載せていた。相手は米国の安全保障研究者のアイク・フレイマン氏だった。同氏はスタンフォード大学フーバー研究所の研究員で、長年にわたり米国の対アジア戦略、特に日米同盟や対中政策のあり方についての研究を重ねてきた実績のある専門家である。民間の著名な研究所や大学での活動がほとんどで民主党や共和党という党派性は顕著ではない。
 そのフレイマン氏が朝日新聞の奥寺淳記者の質問に答えていた。同氏はまず中国や台湾について以下のように述べていた。
 「中国は台湾の平和的統一が可能だというが、習近平主席の『平和』は私たちが考えているものとは違います。もし路上で頭に銃を突きつけられ、財布を出せと脅されたら、撃たれなくても平和的ではありません。中国は台湾を威圧のもとで屈服させ、流血がなければ日米に受け入れさせることができると信じているのだと思います」
 「5月の米中首脳会談でトランプ政権は規律をもって台湾問題を扱ったと思います。中国からのあらゆる圧力があったにもかかわらずです。トランプ氏は米国の政策、立場は変えませんでした。米国は台湾への武器売却も進めるでしょう。中国に対し大きな棍棒を携えながら、穏やかに話すのです」
 以上の発言はトランプ大統領の軍事面主体の中国抑止、そして台湾の防衛への支援の基本にはまったく融和などの変化がない、という骨子だった。トランプ政権の対中政策、特に台湾政策には変化がない、ということである。この点は私自身のワシントンでの取材の結果とまったく一致していた。だが当の朝日新聞は自前の報道や評論でも、社外の「識者」、たとえば長年の朝日御用学者の藤原帰一氏のような方々の意見でも、トランプ大統領の「中国への融和」を明示、暗示することが多かったのだ。
 さらにフレイマン氏は米中関係における日本の役割についても以下のように語っていた。
 「日本はもはや米国にとって多くの同盟国の1つではありません。世界でも最も重要な同盟国です。地理的だけでなく、サプライチェーンの構築や多様化、ほかの同盟国やパートナーとの調整においても日本に依存しています。これは我々の生存にかかわることです」
 「今後10年、日米同盟がさらに対等になり、進化し、拡大するでしょう。日米と志を同じくする国とともに、政治、外交、通常戦力、経済など私たちのあらゆる国力を組み合わせた総合的な協力と戦略が必要です」
 この政策こそトランプ大統領自身がいまの日米関係を「黄金時代」と評し、日本との同盟を米国のインド太平洋全域での国家安全保障の「礎石」と呼ぶ基本姿勢のまさに体現なのだと言える。こんな客観的なトランプ政権の基本戦略がトランプ叩きに徹してきたような朝日新聞の紙面に出ることをどう解釈すればよいのか。
 やっと真実を認めざるを得なくなったのか。あまりに反トランプに傾き過ぎた偏向をある程度は是正せねば、と感じたのか。あるいは朝日新聞社内の少数派が現実の無視への危機を感じて、軌道修正を図ったのか。
 しかし同じ日の朝日新聞の紙面に、これまでのトランプ罵倒とも言える他の記事も載っているのだから、朝日新聞のアメリカ報道への思考を簡単に断じることはできないだろう。