高市早苗内閣が来年4月から飲食料品にかかる消費税を2年間に限って8%から1%に下げることを閣議決定した。円安などを危惧してアメリカからも消費税減税に異論の声が聞こえてくる中で、思い切った決断だった。
これに対して殆どの新聞が批判している。私が読んだのは朝日、読売、日経、毎日、産経の5紙だ。順番に見出しを紹介する。「社会保障の安定損なう無責任」「懸念は払拭されないままだ」「消費税減税は未来への責任放棄だ」「将来に禍根を残す浅慮だ」「減税判断の妥当性どこに」。
批判の論点はどこもほぼ一緒だ。消費税が社会保障の安定財源となっており、それを突く崩すものだということ。もう1つは、約5兆円と言われる減税の財源が明らかにされていないことだ。
この批判には少々呆れた。自らも軽減税率を適用されている新聞がそろいもそろって消費税減税に反対なのだ。だがもし高市首相が消費税減税をやらなかったら新聞はどう書くのだろう。恐らく「公約違反」の大合唱が起こるだろう。
それにしてもあまりにも消費税に無批判な論調である。消費税には、収入の少ない人ほど負担が重くなる逆進性という大きな欠陥がある。また「社会保障のため」と政府は説明しているが、実際には借金返済にも使われており、使い道が透明にはなっていない。それでいて引き下げ反対論の中には、「飲食料品の税率引き下げは、恩恵が高額所得者ほど大きくなる、不公平だ」という主張もある。だったら下げなければ公平なのか。そんなことはない。低所得者は重い負担を払い続けるだけだ。
殆どの野党は先の衆院選で消費税の税率引き下げを主張していた。だが今回の引き下げ案には反対だという意見を表明している。この豹変は意味不明である。自民党に反抗せずに賛成しても国民の批判はないだろう。
自民党が衆院選公約で、「飲食料品の2年間ゼロの検討加速」としたのは、多くの野党が飲食料品の消費税について、「恒久的にゼロ」とか、「段階的廃止」などを掲げたからであった。昨年夏の参院選で、石破茂政権が消費税減税に否定的な態度に終始し、惨敗したことも大きかった。
だが今年の衆院選では、殆どの党が引き下げを主張したため当初は争点にならなかった。そこで高市首相は、「飲食料品の消費税減税は私の悲願」とぶち上げたのだ。わずか2年間引き下げるだけで「悲願」はないだろうと私は思ったが、この言葉のインパクトは大きかった。この言葉によって消費税減税は高市氏のモノになったのだ。選挙大勝の大きな要因だった。これを何が何でも実行するのは当然なのだ。
高市氏はかつて「国の品格として食料品の消費世率は0%にすべきだ」と語ったことがある。大賛成である。食料品を非課税にしている国は少なくない。日本も2年と言わずに真似てもらいたい。財源問題でも大企業は空前の儲けを挙げている。投資によってぼろ儲けしている富裕者も少なくない。ここにもメスを入れて欲しい。