中国共産党の行動原理

.

顧問・東京国際大学特命教授 村井友秀

 今日のテーマは中国共産党が何を考えて行動しているのかということです。先程中国に関してそれぞれ専門分野の方がお話されましたが、私は背景にある基本的な流れ、中国が行動を起こす際の背景についてお話したいと思います。
 先程お話がありましたように、中国が色々な形で外国に出て来ていますが、それはどういう動機で、何を目的にして行動しているのかということです。

中国共産党の優先順位
 中国共産党は一番大事なものを守る為に行動しますが、一体それは何なのか。この点に関して中国共産党ははっきり言っています。それは「核心的利益」ということです。核心的利益については色々な説がありますが、最大公約数的にまとめると3つです。1つは、一番大事である共産党の支配、2つには領土や主権、3つには経済的発展です。これは優先順位の順番です。優先順位があるというのはどういうことかと言いますと、大事なものの為には、大事ではないものは犠牲にするということです。
 日本と中国、或いは中国とアメリカとの関係を考える時にウィン・ウィンの関係を作ると言いますが、これについて殆どの方が考えるのは経済的発展です。ところが中国共産党が考えるのは、共産党支配の方が経済的発展よりも遙かに優先度は高いわけです。中国が共産党支配を守る為に経済的発展を犠牲にするということはあり得ると考えるべきだと思います。
 では、共産党支配がどうなっているかと言うと、今、共産党支配は大きな矛盾を抱え、動揺していると言えます。中国共産党にとって最優先で守るべき中国共産党の支配が動揺している。これが中国の対外進出の動機だと基本的に見ることができます。
 では何故動揺しているのか。それは、共産党政権が資本主義経済を導入している矛盾があるからです。この点、ロシアの場合は矛盾がない。ソ連共産党が共産主義経済をやって経済が崩壊した。その後ロシアになり、「資本主義政党」が「資本主義経済」をやって一応矛盾はないわけです。ソ連がロシアになり、貧乏人がたくさん出たが、金持ちと貧乏人がいるのは資本主義経済だから仕方がないと国民が納得しているわけです。
 中国はどうか。共産主義というのは皆が平等になるというシステムです。ところが資本主義経済というのは金持ちや貧乏人ができるというシステムです。