総務大臣役を担当し痛感した残された課題

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政策提言委員・衆議院議員 細野豪志

 本年の台湾海峡危機政策シミュレーションはシナリオの精緻さにおいて過去2回と比較にならないハイレベルなものとなった。台湾海峡危機を想定した時に総務大臣が果たすべき役割は2つ。第1にフェイクニュース及びサイバー戦への対応、第2に先島諸島をはじめとした住民避難である。その役を担った者として今後の課題を整理してみたい。
 
1. フェイクニュース及びサイバー戦への対応
 設定された3つ全てのシナリオにおいてSNSにおけるフェイクニュースが拡散された。政府は内閣官房に新たに設置された「戦略的コミュニケーション室」において対応することとなったが、発信すべき情報の中身、具体的な発信方法は手探りのままであった。
 一例を挙げるならば、尖閣諸島周辺海峡での中国海警と海保が衝突した場合において、どちらが先に攻撃を加えたかは国際世論を考えた時、死活的に重要な情報となる。日本の領土として実効支配を続けてきた尖閣諸島において、中国海警が日本の海保に先に攻撃を加えた事実を発信する必要がある。SNSの時代において動画の持つ効果は絶大だ。あらかじめ海保が動画を撮影する備えを行い、それを政府がしかるべきSNSで即時に発信できる体制を構築しておかなければ情報戦で敗北することは明確だ。