「台湾有事」は「経済有事」に直結、更に「経済有事」は先に来る
―官民挙げた備えの深化を―

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衆議院議員 鈴木英敬

 今回の政策シミュレーションは、戦略3文書を踏まえた2027年に概成が見込まれる防衛力に基づき行われ、全体として、それらの意義が国内外に示される結果となり極めて有意義であったと考えます。そのような中、私は今回、初参加かつ国会議員の中で最年少でしたが、経済産業大臣役として参加し、貴重な経験をすることができました。
 以下、本稿では、自らが果たした役割からの所見を中心に述べたいと思います。
 
1.コロナ禍における制度整備の進捗による一定の成果
 経済産業大臣役として、我が国への半導体供給不安への対応、中国・台湾の日系企業駐在員等の安全確保や退避、物価高騰等に対する補正予算や予備費を活用した経済対策の策定、大規模ブラックアウトが生じた場合を含めた国内における電力の安定供給、石油備蓄の放出やLNG調達のための対応、経済団体とのコミュニケーションなど多くの課題への対応策を進言させていただきました。
 これらを実施するに当たり感じたことの1つは、特に、武力衝突に至る前の段階であるシナリオ①②において、計らずも、新型コロナ対策により一定の制度整備がなされていたことが功を奏したということです。例えば、シナリオ①における台湾からの半導体供給が途絶する懸念が生じた際の対応です。