台湾有事の際の財政・金融・経済分野における課題

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衆議院議員 神田潤一

1.はじめに
 昨年行われた「第2回台湾海峡危機政策シミュレーション」に、私はオブザーバーとして参加(見学)し、大いに勉強になったが、今年は「財務大臣」役として参加することができた。
 実際には、1日目(7月15日)は、地元でどうしても参加しなければならない会合等があり、シミュレーションへの参加は2日目だけとなったが、それでも、1日目の財務大臣役を務めた同期の尾崎正直さんとも相談して、予想される「トリプル安」や「大量の国債発行」、「金融機関の資金繰り困難化」などのシナリオに対して事前にどのような政策の選択肢があるか議論するなど、準備段階から様々な頭の体操をした上でシミュレーションに臨んだ。
 ここでは、主に私が担当した「財政、金融、経済」に関する分野について、今後の政策的な課題と認識されたことを整理しておきたい。
 
2.財政面の課題
(1)外貨準備の活用可能性は限定的
 今回のシミュレーションでは、「急激な円安局面での介入資金」と「一部金融機関の外貨資金繰り支援」という2つの目的で、外貨準備の活用が検討されたが、いずれも「活用には制約があり、なかなか難しい」という印象を持った。