第二次トランプ政権発足後の国際関係と日本の安全保障

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顧問・元軍縮会議日本政府代表部大使 髙見澤將林

 第二次トランプ政権については、その発足前から第一次トランプ政権発足時以上の懸念が表明されていたが、大方の想像を上回る内容とスピードで数多くの施策が展開され、一晩で状況が激変するなど、高関税政策をはじめ次々と繰り出されるトランプ流のイニシアティブと揺さぶりに世界が翻弄されているように見える。
 この背景には、2020年の大統領選挙の敗北の教訓を学んだトランプチームの存在があると言われる。当選直後からフル稼働し、閣僚候補の公表やスタッフの早期任命、今年1 月の就任演説における大統領自身の思い入れや政策的方向性の公式化、矢継ぎ早の大統領令の発出による政策の具体化、特使の活用や各国首脳との電話会談等を通じたトランプ・ディール外交の展開、懸念された候補を含む閣僚の早期議会承認、報復的とも言われる政府組織の効率化、政府職員の解雇・入れ替え、既存制度の強制終了や国際機関からの脱退・離脱、ウクライナ停戦をめぐる独自外交などが同時並行的に進められている。