戦略3文書の先にある「意思決定」の課題

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副会長・前防衛事務次官 島田和久

Ⅰ はじめに
 今年7 月に日本戦略研究フォーラムの主催で行われた「第3 回台湾海峡危機政策シミュレーション」において、総理や閣僚の間で最も意見が対立したのは、武力攻撃予測事態(以下「予測事態」という。)の認定をめぐる議論であった。このことからも明らかなように、安全保障関連3 文書1(以下「3 文書」という。)が策定され、その現実化が進められている中で、残された最大の課題の1 つは、事態認定をめぐる意思決定の問題であろう。本稿においては、この点を中心に述べる。