近年、中国の著しい経済成長に伴い世界各地に中国企業が進出し、そこで働く中国人が現地で犯罪に巻き込まれる事件が多くなってきた。例えば、2004年6 月10日、アフガニスタンのクンドゥーズ州で11名の中国人労働者が殺害される事件が発生した。中国人労働者はアフガニスタンの復興支援のために現地で働いていたが、タリバンの襲撃を受けて殺害された。16年8 月7 日には、パリ郊外で中国人の織物デザイナーが強盗に襲われ、死亡する事件が発生した。この事件はパリ北部のバルドマルヌ地区で起き、被害者は49歳の男性で、彼は強盗に襲われた際に頭部を殴打され、数日後に病院で亡くなった。23年3 月19日には中央アフリカ共和国のバンバリ近郊で中国人鉱山労働者9 名が武装グループに襲撃され、死亡する事件が起きた。これらの事件は中国企業が進出する国の法律や治安体制がほとんど整備されていないという長年の問題を浮き彫りにした。
中国の「民間警備会社」(private security companies(PSC))は2000年初期からの中国経済の発展とともに発生、成長してきた。今後、中国経済の発展、特に「一帯一路」経済構想が拡大するとともに中国企業の海外進出もさらに増え、PSCの需要も高まってゆくと思われる。しかしながら、現在の中国の法律では原則、武器の携帯は許可されておらず、中国企業の護衛は勿論、海外市場への進出も難しい。