2025年1 月24日、岡田隆駐フィンランド特命全権大使はパトリア社ランド工場を訪問し、陸上自衛隊に導入される装輪装甲車「パトリアAMV XP」の初号車を視察した。自衛隊初のフィンランド製装備の導入準備が進む中、本稿では戦間期における日本とフィンランドの軍事関係史を取り上げたい。
石井英橘とクルト=マルッティ・ワレニウス
戦間期に於ける日本とフィンランドの公式な軍事関係は1930年に始まったとされる。同年7 月、日本陸軍陸地測量部長の石井英橘少将がスウェーデンでの国際会議に向かう途上、フィンランドを訪問。フィンランド軍参謀総長のクルト=マルッティ・ワレニウス(Kurt Martti Wallenius)少将と会談した。具体的な会談内容については史料が現存していないが、石井とワレニウスはその後も絵葉書を数度交換するなど交流があった。