岩田:まず、昨年のシミュレーションはまだ戦略3文書策定中ということで、政策課題を強調するのが主体でしたが、今年は戦略3文書が出来たことで、その有用性を確認するという趣旨の違いがありました。この点について、総理役としてどのようにお考えでしょうか。
小野寺:まず国家安全保障戦略で防衛力整備をする前の昨年のシミュレーションでは、日本として出来ることがあまりない状況の中で、どう考えていくか、寧ろ受身のような状況の対応が行われたと思います。どちらかと言えば、国民の避難や保護が中心にならざるを得なかったと思います。今年は新しい3文書によって防衛力整備が出来た後でのシミュレーションでしたので、当然日本としても反撃能力を持ち、様々な防衛アセットも既にあることを前提でシミュレーションを行いました。そういう意味で今回は日本としての役割がさらに求められる、その中でどう政治的な判断をするかという、かなり難しい判断だったと思います。