新幹線技術の流出はどれほど日本の国益を損失させたのか―中国の世界覇権に利用された日本の技術力―

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政策提言委員・金沢工業大学客員教授 藤谷昌敏

 中華人民共和国の高速鉄道は、高速化された在来線、高速鉄道用の新線とリニアモーターカーから構成されている。中国では高速列車が2007年から導入され、現在では多くの幹線で高速運転が行われているほか、建設中の高速鉄道用の路線や計画が数多く存在している。国営鉄道会社「中国鉄路」(中国国家鉄路集団有限公司)によると、2021年時点で営業中の鉄道網の総延長は約15万kmで、そのうち約4万kmが高速鉄道となっている。最終的には国内の人口50万人以上の都市を全てHSR(High-speed rail、高速鉄道)で結ぶ計画となっており、2035年までに総延長7万kmを目指している。