日本は独自生存の道を模索せよ
―いま世界は真っ二つに分かれようとしている―

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政策提言委員・龍谷大学教授 李 相哲

岐路に立つ日本
 現実主義国際政治学者によれば、世界には善良な国や邪悪の国が存在するのではなく、力の強い国と弱い国があるだけだ。残念ながら、国際社会では善良なことをしたとして褒められたり、賞を貰えるわけでもなく、悪事を働いたとして罰を受けるわけでもない。そのような国際社会の現実を克明に顕しているのが、国際社会における日本と北朝鮮という国だ。
 日本は平和憲法の下、世界の国々に巨額の政府開発援助(ODA)を提供し、核なき世界を唱えているが、それに真剣に耳を傾ける国はいない。寧ろ、核保有を事実化する北朝鮮が日増しに、世界の関心を引き寄せている状況だ。
 そんな中、国際秩序の守護者として見做されたアメリカは、いま「アメリカ・ファースト」(米国第一主義)を掲げ、保護主義に走り、国際社会への関与を減らそうとしている。