1 .世界システムの変化
 19世紀までの世界は、戦国時代或いは帝国主義の時代であった。各国の国家戦略の基本は国家の生存であり国民の安全の確保であった。国家の安全を保障するために各国は領土を拡大し隣国との間に緩衝地帯を広げようとした。国家の安全を保障する確実な条件は、世界一の強国(覇者)になることであった。自国よりも強い国を攻めようとする国はないという考え方である。戦国時代(帝国主義)の外交政策は、正義やイデオロギーとは無関係の「敵の敵は味方」や「遠きと交わり近きを攻める」といったものであった。地政学では世界の対立構造を、陸の大国(ランドパワー)と海の大国(シーパワー)の対立と考えた。
 尚、歴史的に見ると、シーパワーはランドパワーよりも有利な立場にあった。海に囲まれたシーパワーは隣国からの脅威を心配する必要がないのに対して、ランドパワーは陸上で国境を接する隣国の脅威に常に晒されているからである。