米国トランプ政権は本年6月21日、イランにおけるフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3ヵ所の核関連施設に対して攻撃を実施したと発表した。トランプ大統領はホワイトハウスで演説し、「イランの主要な核濃縮施設は完全に壊滅された」と述べ、作戦が成功したと強調した。作戦名は「ミッドナイト・ハンマー(真夜中の鉄槌)」と名付けられた。
 この攻撃について、トランプ大統領が標榜する「力による平和」の具現化とみるのか、はたまた国際法に反する暴挙とみるのか。いずれの見立てを採るかによって、立場が大きく異なってくる。本稿では前者の観点から、国際法上の論点にとどまらず、インド太平洋地域の安全保障環境への影響についても、考察していく。
 
国内メディアの批判
 日本の国内外では、トランプ政権によるイラン攻撃に対しては、国際法に違反しており容認できないという声が上がった。国内メディアでは朝日新聞が、論説主幹の署名入りで、「トランプ米政権が国連決議もないまま、イスラエルに同調する形でイラン核施設の攻撃に踏み切った。