日本に対抗する中国の レアアース・レアメタル規制

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政策提言委員・金沢工業大学特任教授 藤谷昌敏

 中国においては、経済安全保障とは国家の経済的な安全を確保するための政策や施策のことを指す。特に習近平政権は、「総合的な国家安全保障観」という政策を打ち出し、巨大な市場と高い生産力を活用して、他国を依存させることで経済的優位性を獲得する戦略を立て、経済安全を人々の生活水準向上と製造業の高度化の目標として位置付けている。即ち、中国は、レアアースを含む戦略物資を「経済安全保障の攻防の主戦場」とし、経済安全保障における「重要物資の供給途絶や過度な依存から国家の主権と国民生活を守る」という防御的姿勢と、「戦略物資を外交・経済的影響力の手段として活用する」という攻撃的姿勢の2つの性質に基づいた戦略を展開しているのである。
 実際に日本は中国にレアアースの規制を受けたことがある。2010年9月7日、尖閣諸島沖で操業していた中国の漁船に対して日本の海上保安庁の巡視船が退去するよう要求したところ、漁船が巡視船に体当たりする事件が起きた。