台湾有事に向け、ウクライナ戦争から学ぶITの教訓

.

NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト 松原実穂子

 2022年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、ドローンや人工知能(AI)の戦場における活用をはじめ、軍事面での教訓が数多く導き出されてきた。対照的に、有事に企業がどう備えるべきかについては殆ど語られていない。
 例外的に警鐘を企業に対して鳴らしているのが、米国家安全保障局(NSA)のロブ・ジョイス元サイバーセキュリティ局長だ。現役時の2023年4月11日、ジョイス氏は、米ワシントンDCにある大手シンクタンク「米戦略国際問題研究所(CSIS)」のイベントに登壇し、戦時において企業がIT面で留意すべき点を指摘している。
 軍事侵攻発生当初、米国企業は、自社のITネットワークからウクライナとロシアを切り離すかどうか、ウクライナとロシアにいるシステム管理者にどの程度権限を残すか、短期間の間に難しい決断を迫られた。